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ドイツはEUの中だけでなく、世界経済にも影響を与える経済大国です。
しかし、
「ドイツ経済の特徴がわからない」
「どんな経済指標をチェックすればいいのか知りたい」
という人も多いことでしょう。
そこで今回は、ドイツ経済の特徴や今後の見通し、主要経済指標などについて紹介しています。
この記事を読むことで、ドイツ経済の基本的知識や主要経済指標を知ることができ、ファンダメンタルズ分析がやりやすくなりますので参考にしてください。
ドイツ経済の特徴
まずは、ドイツ経済の基本的な特徴について紹介します。
ドイツは、以前は「欧州の病人」とも揶揄されていましたが、現在ではEUの中で1人勝ち状態です。
基本的な特徴を知っておけば、資産運用もやりやすくなりますので、一つひとつ見ていきましょう。
ドイツはユーロ圏トップの経済力
ドイツはユーロ圏トップの経済力を持つ国です。
非常に発達した市場で、米ドル為替レートで4番目、購買力平価ベースGDPは世界5番目の規模となっています。
ドイツのフランクフルトには欧州中央銀行(ECB)の本部があり、通貨はユーロを使用していて、機械や自動車などの輸出が国内生産の多くを占めている国です。
EUの中で群を抜く経済パフォーマンスを示す稼ぎ頭であり、2015年にはEU全体の経常黒字のうち約8割、2016年には前年首位の中国を抜き世界最大の経常黒字国になりました。
2012年頃から企業景況感も上昇傾向であり、大企業だけでなく中堅・中小企業がドイツ経済を支えています。
アメリカ景気循環調査研究所(ECRI)によると、ドイツは2009年1月以降、景気回復局面が続いており、戦後の高度成長期を除くと最長です。
失業率もEU加盟国の中で非常に低く
- サブプライムローン問題
- リーマンショック
- ギリシャ財政問題
- ヨーロッパ財政危機
などの影響で他の国の失業率が高くなるなか、ドイツの失業率は改善傾向が続きました。
2000年代はじめまでは苦しい時期
以前からドイツの経済力が高かったわけではありません。
1990年に東西ドイツが統一され旧東ドイツに財政支援をしたこともあり、その翌年から経常収支が赤字に転落し、赤字状態は、2000年代はじめまで続きました。
失業率も1997年には10%程度、2004年から3年間は10%を超える水準まで上昇しています。
しかし、1999年に単一通貨であるユーロの導入と2003年の労働市場改革を転機として、経常収支や失業率は回復していきました。
中国との関係
そのため、近年のドイツ経済成長に中国はなくてはならない存在でした。
なぜなら、中国は経済成長をするために、ドイツ車や工業製品を大量に購入してきたためです。
しかし、2018年11月の対中輸出はそれまでよりも低い1.4%増にとどまるなど、中国経済の減速やアメリカの関税問題などによって、ドイツの対中貿易は減退しています。
経済団体ドイツ産業連盟は対中政策の厳格化を求めながらも、企業の中国依存の是正も促していますが、ドイツ自動車大手のフォルクスワーゲンCEOが「フォルクスワーゲンの未来は中国市場で決まる」と述べているように、ドイツの経済成長にとって中国は切っても切り離せない存在です。
参考:中国経済の特徴と見通し
ドイツの主要経済指標
以下は、ドイツの主な経済指標です。
経済指標 | 発表時期 | 日本発表時間 |
---|---|---|
GDP(国内総生産) | 四半期(2月・5月・8月・11月)ごと | 16時頃 |
失業率、失業者数増減 | 毎月下旬 | 18時55分頃 |
小売売上高 | 毎月下旬 | 16時頃 |
IFO景況感指数 | 毎月下旬 | 18時頃 |
ZEW景況感指数 | 毎月中旬 | 19時頃 |
生産者物価指数(PPI) | 毎月中旬 | 16時頃 |
GFK消費者信頼感指数 | 毎月下旬 | 16時頃 |
貿易収支 | 毎月上旬 | 16時頃 |
鉄工業生産(IIP) | 毎月上旬 | 16時頃 |
消費者物価指数(CPI) | 毎月中旬 | 16時頃 |
サービス部門購買担当者景気指数(PMI) | 毎月下旬(速報)・上旬(改定) | 17時30分(速報)・17時55分頃(改定) |
製造業購買担当者景気指数(PMI) | 毎月下旬(速報)・上旬(改定) | 17時30分(速報)・17時55分頃(改定) |
特に重要度の高い経済指標は、
- GDP(国内総生産)
- IFO景況感指数
- ZEW景況感指数
- 失業率、失業者数増減
- 小売売上高
です。
IFO景況感指数は、旧西ドイツの7,000社を対象とした景況感を判断する指標で、IFO研究所が発表します。
また、ZEW景況感指数は、民間調査会社であるZEWが発表する景況感指標で、約350人のアナリストや市場関係者、機関投資家にアンケート調査をしたものです。
すべての指標をチェックできなかったとしても、これらの指標はチェックするようにしましょう。
>>経済指標とは?
ドイツ経済の現在と見通し
ここでは、ドイツ経済の現在と今後の見通しについて見ていきましょう。
基本的な経済状況を知っておけば、相場のファンダメンタルズ分析もやりやすくなります。
ドイツ経済の現在
これまでドイツ経済は堅調に推移していましたが、ここへきて経済成長の減速が見えてきています。
ドイツ連邦銀行は、2018年12月14日に発表した経済予測で、2019年の実質GDP成長率を1.6%としており、前回予測(2018年6月)よりも0.3%も下がっているのです。
2018年のGDP成長率も前年より1.0ポイントも低い1.5%予測となっています。
消費者物価指数(CPI)の上昇率についても、エネルギーや生鮮食品価格上昇率の減速などを理由に1.4%へ下がる予定です(2018年は1.9%)。
他にも
- 自動車燃料排出基準改定によって工業生産も停滞
- 外需低調
- ドイツ銀行のマネーロンダリング疑惑(約26兆円)
- FRBからの多額の賠償請求
- ドイツ銀行主要株主である中国のコングロマリット海航集団による株式売却
などいろいろな問題があり、いつドイツ経済崩壊・金融危機が起きてもおかしくないとも言われています。
今後の見通し
上記のとおり、ドイツ経済には多くの失速懸念があり、経済成長は減速しています。
欧州減速や米中貿易戦争が世界経済に打撃を与えており、ドイツだけでなく、各国の経済が減速している状況です。
3月にはECBが利上げを先送りして、銀行に対する長期資金供給策(TLTRO)の導入も決定しています。
今後の世界経済・ドイツ経済の状態によっては、さらにユーロが下落基調を強めていく恐れがあります。
まとめ
今回は、ドイツ経済の特徴や今後の見通し、主要経済指標などについて紹介いたしました。
あらためて、ここで紹介した大事なことをまとめると、次の4点が挙げられます。
- ドイツ経済はかつては低迷していたが、ユーロ導入・労働市場改革によって復活
- 近年は堅調に推移し欧州で1人勝ち状態だった
- GDP・IFO景況感指数・ZEW景況感指数・失業率・小売売上高などの指標が特に重要
- ドイツ銀行問題による金融危機、ドイツ経済・世界経済減速など今後は不安
ドイツ経済は為替相場にも大きな影響を与えますので、経済動向をチェックしながらFX取引をするようにしましょう。
ドイツのデータ | |
---|---|
国名 | ドイツ連邦共和国 |
首都 | ベルリン |
通貨単位 | ユーロ(旧マルク、1999年以前に使用) |
表記 | EUR |
輸出先 | フランス、米国、英国(イギリス)、イタリア、オランダ、オーストラリア、ベルギー |
輸入元 | フランス、米国、オランダ、英国、イタリア、オーストラリア |
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