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ユーロは米ドルに続く取引高を誇り、世界経済に影響を与える通貨です。
第二の基軸通貨とも呼ばれ、多くのトレーダーがユーロを取引し、非常に人気の高い通貨と言えます。
しかし、FX初心者の中には
「ユーロの値動きは?」
「ユーロに影響する経済指標を知りたい」
など、たくさんの疑問を持っている方も多いことでしょう。
そこで今回は、ユーロの特徴や値動き、経済状況や経済指標、リスクなどについて紹介しています。
この記事を読むことで、ユーロに対する理解が深まり、安心して取引できるようになりますので、参考にしてください。
ユーロの特徴
まずは、ユーロがどのような通貨なのか、基本的な特徴について確認をしていきましょう。
特徴を知っておくことで、他の通貨との比較もしやすくなります。
ユーロは「欧州統一通貨」
ユーロは、1993年に発足したEUで実施された通貨統合によって、1999年1月から取引が開始された単一通貨のことです。
通貨コードは「EUR」と表記されます。
1999年に取引開始された際は、まずは11ヶ国が参加して銀行間取引が始まりました。
現在では、スウェーデンやイギリスを除くEUに加盟する28ヶ国のうち19ヶ国で使用されている状況です。(イギリスなどは独自通貨を維持しています)
ユーロは欧州中央銀行(ECB)によって発行・管理されています。
米ドルに次ぐ第二の基軸通貨
各国の中央銀行や政府が保有する外貨の割合は、米ドルが約6割でユーロが約2割で、ユーロは世界の基軸通貨である米ドルに続く取引量を誇っており、第二の基軸通貨と呼ばれています。
世界1位の米ドルと2位のユーロは世界最大の取引高がある通貨ペアでもあり、全通貨ペアの取引高のうち約23%ものシェアを持っています(1日あたりの平均取引高は1兆1,000億米ドル以上)。
取引高シェア通貨ペアは以下のとおりです。
順位 | 通貨 | シェア率 |
---|---|---|
1位 | ユーロ/米ドル | 23% |
2位 | 米ドル/円 | 17% |
3位 | 米ドル/英ポンド | 9% |
4位 | 米ドル/豪ドル | 5% |
5位 | 米ドル/カナダドル | 4% |
為替市場において米ドルが圧倒的なシェアを持ちますが、ユーロの規模も非常に大きく、日本円も含めた3通貨のシェアは10年前と比べても大きく変わっていません。
ユーロの値動き
これまでユーロがどんな値動きをしてきたのか、どのような要因で上昇・下落したのか把握しておくことは大切です。
これらを把握しておくことで、今後の相場分析がやりやすくなる可能性があります。
ここでは、代表的通貨ペアであるユーロ円の値動きや上昇要因・下落要因について見ていきましょう。
値動き
ユーロ円の約10年間(2008年〜2019年)のチャートを見ると、2008年に一時1ユーロ=169.950円の高値をつけますが、リーマンショックが起きると相場は急落します。
2009年1月には一時112円まで下がり、その後130円台まで回復をしますが、再び下落しました。
2012年8月には1ユーロ=100円を割り、ここ10年で最も安い94円まで下がっています。
2014年にかけて再び上昇し、130円〜140円で推移したあと、2016年にかけて110円〜120円まで下落、2019年3月時点では120円台で推移しています。
上昇要因
ユーロ円は主に以下の出来事によって上昇しています。
- 2015年 日銀の追加緩和
- 2016年 欧州中央銀行の量的緩和縮小(テーパリング)の噂
などが言えます。
下落要因
ユーロ円相場の下落は主に以下の出来事が原因と言えます。
- 2008年〜リーマンショック
- 2010年 ギリシャ危機
- ECBの量的緩和
- ブレグジット(イギリスのEU離脱)
などによって相場が下落しています。
ユーロの経済指標
ユーロの相場がどのような経済指標に大きく反応するのかを知っておけば、リスク管理がしやすくなります。
また、ファンダメンタルズ分析の精度も高めることができ、売買チャンスを捉えることが可能です。
ここでは、ユーロ相場への影響が大きい経済指標やユーロの今後の見通しについて見ていきましょう。
経済指標
ユーロが影響を受けやすい主な経済指標は以下のとおりです。
ユーロに関する経済指標だけでなく、経済規模が大きいドイツの重要指標もチェックする必要があります。
経済指標 | 発表時期 | 日本発表時間 |
---|---|---|
欧州中央銀行(ECB)政策金利発表 | 毎月上旬 | 21時45分頃 |
ZEW景況感調査指数 | 毎月中旬 | 19時頃 |
GDP(国内総生産) | (速報)2月・5月・8月・11月中旬 (改定)3月・6月・9月・12月上旬 |
19時頃 |
消費者物価指数(HICP) | (速報)毎月下旬 (改定)毎月中旬 |
19時頃 |
ドイツZEW景況感指数 | 毎月下旬 | 19時頃 |
ドイツIFO景況感指数 | 毎月下旬 | 18時頃 |
ドイツGDP(国内総生産) | (速報)2月・5月・8月・11月中旬 (改定)3月・6月・9月・12月上旬 |
16時頃 |
いずれも、影響力が大きい重要指標となりますので、できればすべて確認するようにしましょう。
ユーロの経済状況
2019年2月に欧州委員会が発表した冬季経済予測(中間見通し)では、2019年のEU加盟国28ヶ国の実質GDP成長率予測値を1.5%、ユーロ圏は1.3%としました。
2018年の秋季経済予測から、EU加盟国は0.4%減、ユーロ圏は0.6%減となっています。
2020年予測についても前回予測からともに0.1%減といずれも厳しい数値です。
景気後退予測の主な要因としては、イギリスのEU離脱や貿易摩擦、中国経済の減速などがあります。
主要国の2019年のGDP成長率見通しは以下のとおりです。
- ドイツ 1.1%(前回予測より0.7%減)
- アイルランド 4.1%(前回予測より0.4%減)
- ギリシャ 2.2%(前回予測より0.2%減)
- スペイン 2.1%(前回予測より0.1%減)
- フランス 1.3%(前回予測より0.3%減)
- イタリア 0.2%(前回予測より1.0%減)
- ポルトガル 1.7%(前回予測より0.1%減)
2019年の消費者物価指数上昇率についても下方修正をしています。
これらの数値を見てもわかるとおり、ユーロ圏経済は景気後退懸念が高まっている状況です。
ユーロの政策金利について
下記の画像は2008年からのユーロの政策金利です。
2008年には4%を超えていた政策金利もその後のリーマンショックなどを発端とする世界的な金融危機により、経済が悪化したことにより大規模な金融緩和を行ったため現在では政策金利は0%です。
昔はユーロ買いで金利スワップを貰えることが多かったのですが、最近では低金利通貨として扱われています。
そのためユーロ買いポジションを保有している場合、ほとんどの通貨ペアで金利スワップを逆に支払わなければならない状況です。
金融緩和の出口戦略が実行されるのはまだ先になりそうですので、この状況は今しばらく続くものと思われます。
ユーロの考えられるリスク
ユーロにはどのようなリスクがあるかを把握しておけば、日頃からリスク管理を徹底できるようになります。
リスク管理の質を高めることは、安定した収益をあげることにもつながりますので、主なリスクについて見ていきましょう。
脱退リスク
ユーロはEU加盟国を中心とした複数の国の統一通貨であり、それらの国々で構成されるユーロ圏の通貨として取り扱われています。
当然各国の経済状況は異なる中で統一通貨ユーロを使用していますので、国力と通貨の力関係に差が発生することがあるのです。
例えば経済が欧州で比較的堅調なドイツなどが、仮にユーロで無くドイツ通貨を使用していた場合はドイツ通貨は安全性の高い通貨としてみなされ買われることが多く、輸出で今のように稼ぐことはできないでしょう。
このように、ドイツなど経済が堅調な輸出産業の強い国からすれば、経済の不安定な国を抱えるユーロは自国通貨を導入した場合よりも通貨安となりますので、メリットが大きいのです。
1つの国の影響を多数の国が受ける
ユーロは、為替変動リスクを避けることやユーロ圏内での商取引を円滑におこなうために統一通貨を導入しました。
しかし、ユーロソブリン危機などのように、一部の国の財政危機が問題になるとユーロが大幅に下落して、関係のない国まで多くのデメリットを受けることになります。
ドイツがギリシャを救済するなど、財政基盤の強い国が弱い国を財政支援で助けなければならないことも統一通貨の欠点です。
ユーロを導入している国が多いことから、各国の意見が食い違ってしまうと大きなリスクが発生する恐れもあります。
まとめ
今回は、ユーロの特徴や値動き、経済状況や経済指標、リスクなどについて紹介いたしました。
あらためてここで紹介した大事なポイントをまとめると、次の4点が挙げられます。
- ユーロは米ドルに続く取引高で米ドルユーロの通貨ペアは世界第1位の取引高を誇る
- 景気後退懸念が高まっており今後の相場動向には注意が必要
- ユーロは導入国が多いため1つの国のリスクを全体が被る場合がある
- 多くのトレーダーが取引をする人気通貨ペア
ぜひ、興味がある方は、ここで紹介した内容を参考にして早速取引を始めてみてください。
ユーロのデータ | |
---|---|
国名 | 欧州連合 |
首都 | – |
通貨単位 | ユーロ、セント |
表記 | EURO |
輸出先 | 米国、スイス、日本、ポーランド、中国 |
輸入元 | 米国、日本、中国、スイス、ロシア |
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