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英ポンドは、非常にボラティリティの高い先進国通貨であり、殺人通貨の異名を持ちます。
かつてほどの金利の高さはありませんが、短期間で大きな利益を狙うことができるため、中上級者を中心に人気がある通貨です。
しかし、
「英ポンドってどんな特徴があるの?」
「どういった経済指標に注目をすればいい?」
「どんなリスクがある?」
など、疑問を持っている初心者は多いことでしょう。
そこで今回は、英ポンドの特徴や値動き、経済指標やリスクなどについて紹介しています。
この記事を読むことで英ポンドの特徴を把握でき、取引がしやすくなりますので参考にしてください。
英ポンドの特徴
まずは、英ポンドの基本的な特徴について把握していきましょう。
ここで紹介するように、他の通貨と比べて値動きに大きな特徴があるため、事前に把握しておくことでリスク管理もしやすくなります。
値動きが非常に激しい通貨
英ポンドはヨーロッパのイギリス(英国)で使われている通貨のことで、通貨コードは「GBP」です。
現在の基軸通貨は米ドルですが、実は第二次世界大戦前までは英ポンドが基軸通貨としての役割を持っていました。
戦後はイギリス経済の衰退もあって基軸通貨ではなくなり、また、ユーロの登場もあって国際的な地位は低下しています。
それでも、英ポンドはメジャーな通貨の1つで、取引量は米ドル、ユーロ、日本円に次ぐ位置にありますが、他の主要通貨に比べて非常に値動きが大きいのが特徴です。
ちなみに、英ポンドの正式名称はスターリング・ポンドなので、GBPではなく「STG」と表記されることもありますが、どちらも指している通貨は同じです。
ユーロの値動きと連動しやすい
イギリスはEUに加盟していて、地理的にもヨーロッパの一部であることもあり、英ポンドはユーロと値動きが連動しやすい特徴があります。
そのため、ユーロが上昇すると英ポンドもつられて上がり、ユーロが下落すると英ポンドも下がるという動きを見られることが多いです。
英ポンドの値動きと一緒にユーロの値動きもチェックしておく必要があります。
英ポンドの値動きの特徴は?
英ポンドがどのような値動きをするのか把握しておくことで、今後の相場展開が予測しやすくなります。
ここでは、英ポンド円の10年間の値動きや上昇要因や下落要因について見ていきましょう。
英ポンド円の値動き
英ポンド円の約10年間(2008年〜2019年)のチャートを見ると、2008年1月には1ポンド=204円〜222円台だったのが、同年3月には192円〜207円台、リーマンショックが発生した9月には184円〜197円台、2009年1月には一時118円台まで下落しました。
その後も下落基調は続き、2011年9月には一時1ポンド=116円台とここ10年で最安値をつけます。
2012年中旬以降は徐々に回復を見せ、2013年12月には165円〜174円台、2015年6月には一時195円台まで上昇しました。
しかし、再び下落して、2016年2月には144円〜147円台、6月には133円台、10月には一時122円台まで下がります。
その後はやや上昇するも140円〜150円台で推移している状況です。
上昇要因
英ポンド円の相場の主な上昇要因は以下のとおりです。
2013年 アベノミクス、量的・質的金融緩和
下落要因
英ポンド円の相場の主な下落要因は以下のとおりです。
- 2008年 サブプライムローン問題、リーマンショック
- 2009年 ギリシャ危機
- 2016年 EU離脱問題(ブレクジット)国民投票結果
サブプライムローン問題以前は非常に高値をつけていた英ポンド円相場ですが、サブプライムローン問題以降は大きく値を落としています。
また、経済が回復しないなかで、ギリシャ問題、トランプ大統領誕生、アメリカ・中国の景気後退懸念、EU離脱問題などが起き、現在も比較的安値で推移している状況です。
英ポンドの経済指標
英ポンド相場がどのような経済指標に反応しやすいか確認しておきましょう。
影響力のある経済指標を知っておけば、急な相場変動にも耐えられるポジション管理や資金管理ができるようになります。
英ポンド相場が影響を受ける経済指標
英ポンド相場が影響を受けやすい主な経済指標は以下のとおりです。
経済指標 | 発表時期 | 日本発表時間 |
---|---|---|
国内総生産(GDP) | (速報)1月・4月・7月・10月 (改定)2月・5月・8月・11月 |
18時30分頃 |
サービス部門購買担当者景気指数 | 毎月上旬 | 18時30分頃 |
製造業購買担当者景気指数 | 毎月上旬 | 18時30分頃 |
建設業購買担当者景気指数 | 毎月上旬 | 18時30分頃 |
貿易収支 | 毎月上旬 | 18時30分頃 |
イングランド銀行(BOE)政策金利発表 | 毎月上旬 | 21時頃 |
BOEインフレレポート公表 | 2月・5月・8月・11月上旬 | 18時30分頃 |
ライトムーブ住宅価格 | 毎月中旬 | 9時頃 |
RICS住宅価格 | 毎月中旬 | 9時頃 |
資産購入プログラム | 毎月上旬 | 21時頃 |
小売物価指数(RPI) | 毎月中旬 | 18時30分頃 |
鉱工業生産指数(IIP) | 毎月中旬 | 18時30分頃 |
消費者物価指数(CPI) | 毎月中旬 | 18時30分頃 |
失業保険申請件数 | 毎月中旬 | 18時30分頃 |
MPC金融政策委員会議事録公表 | 毎月中旬 | 18時30分頃 |
GFK消費者信頼感指数 | 毎月下旬 | 9時頃 |
失業率 | 毎月中旬 | 18時30分頃 |
小売売上高 | 毎月下旬 | 18時30分頃 |
これらの経済指標は英ポンド相場に影響を与えやすいため、できるだけチェックするようにしてください。
もし、すべての指標のチェックが難しい場合には、特に影響力が大きい次の経済指標は押さえておきましょう。
- 国内総生産(GDP)
- イングランド銀行(BOE)政策金利発表
- BOEインフレレポート公表
- 資産購入プログラム
- 失業保険申請件数
- 失業率
- MPC金融政策委員会議事録公表
経済指標発表が日本時間の夜中や早朝でリアルタイムに確認しづらい通貨もありますが、英ポンドは夕方〜夜の時間帯が中心のためリアルタイムに確認しやすいです。
英国の経済状況
2016年6月にブレクジットが決定して以降、製造業やサービス業、建設業のPMIは落ち込んでいます。
最近でこそ横ばいになってきましたが、ブレクジットに備えた駆け込み需要とも見られており、もし合意なき離脱となった場合はさらに落ち込むことが予想されている状況です。
また、RICS住宅価格指数などを見ても落ち込みが顕著となっています。
今後、合意なき離脱が起きた場合は、イギリス経済のさらなる減速が予想されており、イギリス中央銀行やIMFがマイナス成長に陥ると警鐘を鳴らしているほどです。
5月の欧州議会選挙まで時間もありませんし、今後も先行き不透明な状況が続くことが考えられます。
英ポンドの政策金利
英ポンドの政策金利は、リーマンショック以前は5.0%〜5.5%で推移していましたが、リーマンショック発生後はわずか3ヶ月で2.0%へ、その後3ヶ月で0.5%まで利下げされました。
2016年7月まで0.5%で推移し、8月に0.25%へさらに利下げされましたが、2017年11月に0.5%へ、2018年8月には0.75%まで利上げされています。
以前は、英ポンドと言えば高金利通貨の代表的存在でありましたが、リーマンショック以降は
など他の先進国通貨の方が金利水準は高いです。
英ポンドの考えられるリスク
どのようなリスクがあるかを知っておくことで、今後の相場展開も予測しやすくなります。
ここでは、英ポンド相場に影響を与えるリスクについても見ていきましょう。
意外にも原油価格に左右される
英ポンドは、原油価格にも左右される傾向があります。
イギリスやデンマーク、ドイツ、オランダ、ノルウェーなどの経済水域にまたがる北海油田があり、石油化学製品の輸出も盛んなため、英ポンド相場は原油価格の影響を受けやすいのです。
そのため、原油価格が上昇すれば英ポンド相場も上がり、原油価格が下落すれば英ポンド相場も下がることがあります。
他の資源国通貨ほど連動性が高いわけではありませんが、原油価格と連動する可能性があることを考慮して相場分析をするようにしましょう。
金利発表には気を付けたい
以前は5%台の高い政策金利を誇る高金利通貨として人気がありましたが、リーマンショック後は1%以下の低金利が続いています(現在0.75%)。
また、大きく英ポンド相場が下がった場合は、利上げも考えられますし、1992年のポンド危機のように市場介入が起きるかもしれないため気をつける必要があります。
テロリスク
イギリスには世界三大市場であるロンドン市場があり、世界的な銀行や証券会社などの金融機関も数多く、世界屈指の金融センターです。
そういった地域柄、またアメリカのように通常時から警官が拳銃を持っていないこともあって、テロのターゲットにされているとも言われています。
まとめ
今回は、英ポンドの特徴や値動き、経済指標やリスクなどについて紹介いたしました。
最後にもう1度、ここで紹介した大事なポイントをまとめる、次の4点が挙げられます。
- 英ポンドは非常に値動きが激しい先進国通貨
- ユーロや原油価格と連動性がある
- かつては高金利通貨だったが現在は低金利
- EU離脱問題により、今後大きく下がる可能性もあるため注意が必要
英ポンドに興味がある人は、ここで紹介した内容を参考にして取引をはじめてみましょう。
ただし、値動きが激しく、EU離脱問題もあるためリスク管理の徹底が必要です。
英ポンドのデータ | |
---|---|
国名 | グレートブリテン及び北アイルランド連合王国 |
首都 | ロンドン |
通貨単位 | ポンド、ペニー、ペンス |
表記 | GBP |
輸出先 | 米国、ドイツ、フランス、オランダ、アイルランド |
輸入元 | 米国、ドイツ、フランス、オランダ、ベルギー |
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