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多くの方は「バブル経済」という言葉を聞くと、80年代に日本に到来した不動産価格の高騰による好景気を連想することでしょう。しかし、バブルは90年代のアメリカにも巻き起こったことがあります。インターネット関連企業の株価が急激に跳ね上がったため、この時期は「ITバブル」と呼ばれています。多数のIT企業が新規上場し、相場は想像を絶するほどの過熱振りを見せました。
なぜIT企業関連の銘柄が急激に投資家の関心を集めたのか、インターネット・バブルの詳細について見ていきましょう。
ITバブルとは?
ITバブルは、1990年代末期に米国の株式市場で起こった急激な株価高騰現象です。インターネット企業の銘柄に投資が集中したため、インターネット・バブルと呼ばれるようになりました。
ちょうどこの頃は、現代人が当たり前のように利用しているウェブテクノロジーが徐々に民間に普及し始めた時期です。インターネットを通じて顧客が欲しい商品を自由に検索して購入することのできるeコマースの先鋭的な技術が関係者の注目を浴び、それまで一方向的だったビジネスモデルが大きな変革を迎えようとしていました。そのため、多くの企業が遅れをとるまいとインターネット関連事業に手を伸ばし、IT企業への注目度が飛躍的に高まったのです。
この状況に目をつけた事業家達は、こぞってIT関連のベンチャー企業を設立。アメリカでは低金利政策が導入されていたため、投資資金を調達しやすい環境が構築されていたのもこの流れを後押ししました。そしてシリコンバレー一帯には、1000以上ものドットコムドメインの会社が軒を連ねました。(別名ドットコムバブル。)その中には、現代のインターネットユーザーなら名前を知らない者は居ないAmazonやGoogleなどもありました。
ITバブルが市場に与えた影響
もともと通信関連の銘柄が多かったNASDAQの銘柄数は、90年代末期になって倍増し2000を突破。連動するように株価もどんどん高騰し、2000年には1万1000ドルを超えました。それまで低迷していた鬱憤を晴らすように「ニューエコノミー」が巻き起こります。
為替市場でも円安・ドル高局面が到来します。90年代に入って1ドル100円前後を推移していたドル円相場は瞬く間に急騰。2002年には1ドル130円台まで円安が進みました。
なお、アメリカに端を発したITバブルは、中国や欧州圏など各国の市場にも強い影響を与えました。当然日本の通信会社にも追い風となりましたが、バブル崩壊から続いていた深刻な不況のせいで投資熱が十分に盛り上がらず、極めて限定的な結果となりました。
ITバブルの崩壊
日本のバブル景気があっという間に破綻したように、ITバブルもわずか数年で崩壊を迎えます。FRBが実施した利上げをきっかけに米国市場の株価が下落。さらに9月11日に発生した同時多発テロや中東との軍事対立などの不安材料も重なり、2002年頃にはIT不況が始まってしまいました。
乱立したITベンチャー企業の大半は倒産。明らかに投資資金の徴収のみを目的とした起業主旨が胡散臭い団体が少なくなかったため、経営体制がしっかりしていたごく一部の会社以外は淘汰される厳しい時代がやってきます。株価の低迷と相まって再び円高が加速。2008年頃には1ドル100円割れする事態となり、文字通り投資家たちの一攫千金の夢はバブルのようにはじけて消えてしまうのでした。
どんな人間も儲かるチャンスがあれば必ず飛びつきます。投資家たちの関心を集める話題があればそこにトレンドが生まれ、急激に株価が跳ね上がるバブルとなります。しかし、所詮ブームはブーム。ファンダメンタルズ的に見ていつまでも長続きするトレンドではないので、適度なところで見切りをつけて深追いをしないことが大切です。
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