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FXで上手にトレンドに乗るためには、注目度の高い経済イベントが生み出す値動きを利用するのが確実です。近頃世界中の投資家の間で話題を呼んでいるイベントとして、2016年6月23日に予定されている「英国民投票」を外すことは出来ないでしょう。
ヨーロッパでは、各国の政治・経済・軍事面などの分野での統合を目指し、「EU(欧州連合)」と呼ばれる地域統合体が形成されています。2016年5月現在、加盟国はイギリス・ドイツ・ギリシャ・オランダ・スペインなど28か国にもおよび、欧州圏の統合通貨「ユーロ」は世界の基軸通貨であるドルに匹敵するほどの地位を確立しています。
そのEUからイギリスが脱退するのではないかとの話は数年前から取り沙汰されており、噂が真実味を帯びるにつれて「英国が出て行く」という意味の「Brexit(ブリクジット)」なる造語を経済ニュースで頻繁に見かけるようになりました。EU内でもトップクラスのGDP(国内総生産)を誇る英国がEUから離脱すれば、EUの経済力に多大な悪影響を及ぼすのは確実です。
英国のデーヴィッド・キャメロン首相は、6月23日にBrexitの是非を問う国民投票を実施すると公言。その結果を受け、遅くとも2017年末までにEUから脱退するか残留するかを決定するそうです。
はたしてBrexit騒動はどのような結末を迎えるのでしょうか?そして気になる為替相場への影響は?世界中の関係者が関心を寄せるBrexitを検証していきましょう。
なぜ英国はEUを脱退しようとしているのか?
そもそも、何故英国はEU脱退を検討するようになったのでしょうか。それには、非常に込み入った政治情勢や歴史的背景が関係しています。
英国は20世紀まで紛れもなく世界トップクラスの地位を確立していた大国でした。本土や海外の植民地を含めた領土は最盛期で地球上の4分の1近くを占め、大英帝国の名は世界にとどろくレベルだったのです。
しかし、第二次世界大戦後には世界各地で民族独立運動が盛んになり、英国の統治力は次第に衰えていきます。かつて基軸通貨だったポンドはその座をドルに奪われ、1973年にEUの前身である欧州共同体に加盟した際には、政治・経済に関する法規制について共同体側の提示する条件に譲歩せざるを得ず、大いに苦汁をなめさせられました。
そして近年EU内で取り沙汰されている移民問題により、遂に英国民は本気でEUへの不満を爆発させ始めます。英国は中東のEU加盟国からの移民を大量に受け入れてきましたが、そのせいで自国民の労働機会が失われるという社会問題が発生してしまいました。その上、難民を支援するためには大量の税金を投じる必要があり、「経常収支が赤字続きの英国にそんな経済的余裕があるのか」との反発の声が上がるのは当然の成り行きと言えるでしょう。
ちなみに英国ではユーロとは異なるポンドという独自の通貨を採用しており、通貨統合を拒否していることからもイギリスのプライドの高さがうかがえます。
英国議会ではEU離脱を掲げる独立党が急速に支持者を増やしており、いまや脱退派と残留派の勢いは均衡状態。世論調査ではわずかに残留派が上回ってはいますが、どちらに転ぶか、実際に国民投票を実施してみなければ分からない状況が続いています。
英国がEUを脱退したら為替相場はどうなる?
英国が本当にEUを脱退すれば、ファンダメンタルズ的に見ても間違いなく欧州通貨の悪材料になります。すでに述べたように、英国はEU内でドイツに次ぐ経済大国であり、存在感は他国の比ではありません。英国に脱退されたら、EUにとって確実に大きな痛手となります。大国の脱退がEUの結束に悪影響を及ぼす可能性があり、ユーロの売り圧力が一気に強まるでしょう。
また、Brexitは英国経済自体にもマイナスになります。英国の輸出の大半はEU加盟国を対象としているため、EUから脱退すれば関税撤廃の恩恵が無くなることになるからです。貿易赤字は拡大。国内の景気拡大にもブレーキがかかり、ポンドが猛烈な勢いで下落することが予想されます。
ポンドが急落すれば、インフレ率の高騰も引き起こされるでしょう。脱退から1~2年のうちに、インフレ率が3~4%近くまで上昇するのではないかと言う声も上がっています。利上げへの期待も大幅に後退し、ポンド円が2012年以来の120~130円台まで落ち込む可能性も視野に入れる必要があるでしょう。
その一方、EUからの脱退が英国経済にとってプラス要素になるという意見もあります。近年問題視されているギリシャ危機や難民問題のようなEUの経済リスクから解放されるため、英国本来の自由競争経済に回帰し、再び経済成長を取り戻せるきっかけになるかもしれません。短期的には下落材料になっても、長期的には上昇材料になりうるということです。
今後の投資戦略はどうすればいい?
ただでさえポンドは投機筋に利用されているほど値動きの激しい通貨であり、ひとたび下落の勢いに拍車がかかればどこまで落ちるか見極めづらいものがあります。中途半端な逆張りは禁物。ここはやはり順張りを基本とし、慎重に戻り売りで勝負した方が良いでしょう。
ユーロも同様です。ユーロの場合はECB(欧州中央銀行)の追加緩和のイベントなども取引材料になるため、より一層様々な経済ニュースを注視する必要があります。米国の利上げや日銀の金融政策決定会合の話題もしっかりチェックしましょう。
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