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8月29日早朝にJアラートが鳴り、北朝鮮がミサイルを発射したこと、そしてそのミサイルが日本上空を通過したことが通知されました。
これまでも頻繁にミサイルを発射してきた北朝鮮ですが、緊張感が非常に高まっているなかで日本上空を通過させたことで、有事リスクが一気に高まり為替相場は円高へと動きました。
北朝鮮リスクは為替相場にどのような影響を与えるのでしょうか。
また、万が一、実際に有事が起きた場合はどのような相場展開が予測できるのでしょうか。
今後も緊張感が高い状態が続く可能性があるため、1つの相場展開の考え方として知り、他にもいろいろな意見を取り入れて相場予測をしていくことが必要です。
万が一、北朝鮮とアメリカの武力衝突が起きた場合の為替相場の展望とは?
万が一、北朝鮮とアメリカによる武力衝突が起きた場合は、日本にもミサイルが飛んでくる可能性があります。
この場合、為替相場はどのような動きをするのか、実は専門家の間でも「円高」「円安」の2つに意見が分かれています。
・円安説
日本はリスク当事国ですし、仮にミサイルが領土へ着弾してしまった場合は国として機能しなくなる可能性もあり、決済機能なども危ぶまれます。
そのため、一般的な見方としては円が売られ円安に動くと考えられますが、一方で円高に動くと予測する人も多いです。
・円高説
さまざまな理由が考えられますが、海外投資家や機関投資家のポジション解消、海外投資家の為替ヘッジ、企業や投資家のリパトリエーションによって円高になるという理由が主です。
武力衝突とは違いますが、東日本大震災の際にも保険会社が必要なお金を集めるために海外資産の一部を日本円に変えたこともあり、大きく円高に動きました。
今回のミサイル発射による円高は投資家のポジション巻き戻しが原因と考えれれる
今回、8月29日の北朝鮮のミサイル日本上空通過については、午前6時ごろからわずか80分程で1円近く円高になり、1ドル=108円30銭程度になりました。リスクオフの円買いとも言われますが、投資家のポジションの巻き戻しが原因と考えられます。これは長期的には円安になると見ている投資家が多いからこそであり、これらの長期投資家が有事リスクの高まりにより、ポジション解消したことが背景にあると見られます。
実際に有事が起きた場合に円を買うという選択肢は考え難い
有事の際の為替相場の展望は専門家でも意見が分かれており、どう動くかは実際にそのような事態になるまでわからないのが現状です。
万が一のことが起きてはならないのですが、私自身としては北朝鮮とアメリカの武力衝突、日本への着弾などが万が一にでも起きた場合、一時的に円高に触れるもののその後大きく円安に動くと考えています。
日本がリスク当事国なのに円を買うことは考えられません。
8月29日早朝北朝鮮の弾道ミサイルが北海道襟裳岬の上空を通過
北朝鮮が8月29日午前5時58分頃に、北朝鮮の平壌近郊の順安地区から弾道ミサイル1発を発射しました。
ミサイルは中距離弾道ミサイルとみられ、6時6分頃に北海道の襟裳岬の上空を通過しました。6時12分頃に襟裳岬の東約1180kmの太平洋上に落下したとみられています。
6時40分頃には菅官房長官が臨時の記者会見を行い、被害報告等の情報は確認されていないこと、北朝鮮に対し厳重に抗議を行ったことを述べました。
また、午前8時前には安倍首相も、これまでにない深刻かつ重大な脅威であること、国際社会と連携し北朝鮮にさらなる圧力の強化を国連の場において求めると述べました。
午前9時すぎに行われた菅官房長官の記者会見では、ミサイルの種類は調査中であるものの飛行距離は2700km、最高高度は550kmと推定されることが公表されました。
北朝鮮ミサイル発射を受けて、韓国外務省は「強く糾弾」、イギリスのメイ首相は「無謀な挑戦行為」、フランスのマクロン大統領は「再び無責任な行動」など、各国から避難の声明が発表されました。
今回で5回目の日本上空通過事前通告なしでの発射は1998年のテポドン1号以来
1998年8月に人工衛星の打ち上げと称して発射し、日本上空を超えて三陸沖の太平洋に落下した長距離弾道ミサイルのテポドン1号から、今回のミサイル通貨により、日本上空を通過したミサイルは計5回となりました。
ただし、事前通告なしのミサイル発射は1998年のテポドン1号と今回のミサイルのみで、残り3回は事前通告があり、2009年岩手県上空、2012年沖縄県上空、2016年沖縄県上空を通過しています。
事前通告なしの日本上空通過だったことから、安倍首相は「これまでにない深刻かつ重大な脅威である」と述べています。
北朝鮮リスクによる今後の相場や世界経済への影響は?
北朝鮮がミサイル発射後、日米首脳による電話会談が行われ、国連安全保障理事会の緊急会合を開いて北朝鮮への圧力をさらに強めていくことで一致しました。
その後、トランプ大統領はすべての選択肢はテーブルの上にある、隣国そして国連ののすべての加盟国を軽視などと北朝鮮のミサイル発射を強く非難しています。
グアムへの発射計画を発表したりするなど、国際社会からの圧力を受けても北朝鮮は変わらずミサイル発射を続けています。
鍵を握ると言われていた中国の立ち位置も微妙で、ロシアも北朝鮮へ強硬な態度は取っていません。
今後も「9月9日:建国記念日」「10月10日:朝鮮労働党創立記念日」「12月27日:憲法記念日」など、特に緊張が高まりそうな北朝鮮の記念日が続きます。
今後も緊張感の高い状態は続くと見られ、有事リスクが高まる度に株安円高に動き、しばらくすると北朝鮮よりもアメリカの経済やトランプ政権の動向の方に関心が行き、円安・円高に動くというのが繰り返されることが考えられます。
8月29日のミサイル発射を受けて1円近く円高に動き1ドル=108円30銭程度になった為替相場も、30日の午前4時段階で1ドル=109円60銭程度まで値が戻っています。
このように、今までも何度もありましたが、北朝鮮が挑発行為を行う→有事リスクが高まる→株安円高へ動く→各国が動き有事リスクが緩和される→株高円安へ動くor株安円高へ動く(アメリカの経済などが要因で)という動きが繰り返されながら、解決策が見つかり徐々に有事リスクが後退していくか、より悪化していくかのどちらになるかは時間が経ってみないとわかりません。
基本的に有事リスクが高まることや、実際に有事が起きることは世界経済にとっては短期的に大きなマイナスになることが考えられます。
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