• 不動産評価方法「積算評価法」と「収益還元評価法」について
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積算評価法は資産価値、収益還元評価法は収益力に着目して算出

2017年8月14日

不動産の評価額を求める方法には、積算評価法と収益還元評価法の2種類があります。不動産投資をする際には、多くの人が金融機関のローンを利用し、審査を受けます。

審査の際に物件の価値がどれくらいあるか?を判断するために金融機関が評価するのが、積算評価額と収益還元評価額の2つです。
それぞれ、内容や求め方が違いますが、これらの評価方法を知っておくことで、「金融機関からどう見られるか?」を予測することができます。

不動産評価方法の1つ「積算評価法」は資産価値に着目して算出したもの

不動産価格を評価する方法には、積算評価法と収益還元評価法の2種類があります。
積算評価法は、不動産の資産価値に着目して算出する方法であり、土地積算評価額と建物積算評価額を足し合わせて求めたものです。

金融機関の担保評価額の目安にもなるため、ローンの審査を判断する際に参考にする重要な指標でもあります。

「積算価格=土地積算評価額+建物積算評価額」金融機関の担保評価額の目安にもなる

積算評価法とは、積算価格を算出するための方法で、土地と建物を現在の価値で評価をして、それぞれの評価額を合わせたものが積算評価です。
具体的には「土地積算評価額+建物積算評価額=積算価格」となります。積算価格は銀行の担保評価額を算出する際の目安でもあるため、積算価格が高いと融資が通りやすいです。もう1つの収益還元評価と一緒に把握しておきましょう。

土地積算評価額

土地の積算評価額は「路線価×土地面積(平米)」によって算出できます。
路線価には「相続税路線価」と「固定資産税路線価」の2種類があります。相続税路線価は毎年1月1日を評価時点として、公示価格などを基に策定した価格の8割が基本で、相続税や贈与税の計算にも用いられています。固定資産税路線価は、固定資産税や不動産取得税、都市計画税、登録免許税などを計算する際に用いられているもので、総務大臣の定めた固定資産評価基準に基づいており、公示価格の7割が基本です。
また、固定資産税路線価は、固定資産税評価額にもなり、3年に1度見直されています。
通常、「路線価」と言われる場合は、相続税路線価のことを指します。そして、相続税路線価や固定資産税路線価の基となる「公示価格」とは、地価公示法に基いた土地の価格のことです。全国の都市計画区域内などに設置されている標準地を不動産鑑定士が鑑定を行い、土地鑑定委員会で審査して価格を決定しています。毎年1月1日時点の正常価格を判定し、3月頃に公表されています。

土地積算評価額を算出する場合の計算式は「路線価×土地面積(平米)」と述べましたが、気をつけるべき点もあります。それは、土地の形状によって積算価格の計算方法が若干変わる場合があるためです。
土地面積が100㎡で路線価が30万円の場合は、通常通り、路線価30万円×土地面積100㎡=3,000万円が土地の積算評価額となります。

しかし、利用価値の高い土地の場合は、積算価格が1割増しになることがあります。土地は接道面が広く利用価値が高い方が積算評価額が高くなります。

例えば、角地の土地や二面の道路に面する土地などです。角地の土地は非常に利用価値が高いと言われており、接面する道路の中で最も高い路線価で計算をして、さらに1割増しの評価がされます。
二面の道路に面する土地の場合も最も高い路線価で算出します。利用価値の高い土地を計算する場合は、通常よりも積算価格が高くなる傾向がありますので覚えておきましょう。

建物積算評価額

建物の積算評価額は「再調達価格×建物延床面積×(残耐用年数÷耐用年数)」によって算出できます。まず、「再調達価格」とは建物を新たに建築する場合に1㎡あたりで必要な費用のことです。
再調達価格は構造別にルール化されており、再調達価格に建物の延床面積を掛けて残耐用年数を耐用年数で割った数字を掛けると建物の積算評価額を算出できます。(金融機関により若干異なります)。

構造別再調達価格(1㎡あたり)
鉄筋コンクリート 20万円
重量鉄骨 18万円
軽量鉄骨 15万円
木造 15万円
構造別再耐用年数
鉄筋コンクリート 47年
木造 22年
鉄骨 19034~34年
※骨格材の厚さによる耐用年数
骨格材の厚さ3mm以下 19年
骨格材の厚さ4mm以下 27年
骨格材の厚さ4mm以上 34年

例えば、鉄筋コンクリートの建物で、築年数が10年、延床面積が500㎡の場合は、「再調達価格20万円×500㎡×(残耐用年数37年÷耐用年数47年)=約7,872万円」です。
木造の建物で、築年数が11年、延床面積が200㎡の場合は、「再調達価格15万円×200㎡×(残耐用年数11年÷耐用年数22年)=1,500万円」が建物の積算評価額となります。残耐用年数とは、耐用年数から築年数を差し引いた数字です。注意点としては、再調達価格が金融機関により若干異なること、また、構造が鉄骨の場合は骨格材の厚さによって耐用年数が19〜34年と幅があるため、厚さを確認しなければいけません。

積算評価

上記の土地積算評価方法と建物積算評価方法で算出した評価額を踏まえて、積算価格は算出します。積算価格は「土地の価格+建物の価格」です。
例えば、鉄筋コンクリートの建物で、築年数20年、延床面積1,000㎡、土地面積500㎡、路線価20万円の場合は、土地積算評価額、建物積算評価額、積算価格はそれぞれ下記のようになります。

土地の積算評価額=路線価20万円×土地面積500㎡=10,000万円
建物の積算評価額=再調達価格20万円×建物延床面積1,000㎡×(残耐用年数27年÷耐用年数47年)=11,489万円
積算価格=土地の価格10,000万円+建物の価格11,489万円=21,489万円

融資を行う銀行などは、物件価格や利回りなどよりも、積算価格を基に融資判断する場合が多いです。積算価格が高いほど銀行の担保評価額も高くなるため、融資が通りやすくなり、より高い物件を購入できる可能性があります。積算価格が低いと融資額を多く受け取れない可能性がありますが、積算価格が高いと多額の融資を借入できることで、利回りが低くなる場合があります。積算価格が低すぎても高すぎても、一長一短ありますので注意が必要です。

不動産評価方法の1つ「収益還元評価法」は収益力に着目して算出したもの

収益還元評価法は、積算評価法と同じく不動産評価方法の1つです。
資産価値に着目して不動産評価額を算出する積算評価法とは違い、収益還元評価法は物件の収益力に着目して不動産評価額を算出する方法です。同じ物件でもそれぞれの方法で評価額は異なりますし、求め方も違います。

収益還元評価法とは?将来期待される収益を基に不動産価格を決める

収益還元評価法とは、アパートやマンションなどの物件が、将来生み出すであろう収益に基いて不動産価格を決める方法のことです。将来生み出すであろう収益力が高ければ不動産価格も高くなり、収益力が低ければ不動産価格も低くなります。物件の価格や面積、立地などでなく、あくまでも収益力に着目して不動産価格を決める方法です。

積算評価法はアパートやマンションなど不動産の資産価値に着目して算出する評価方法ですが、収益還元評価法は、家賃収入から支出を差し引いた不動産の収益性に着目して算出します。
収益還元評価法を算出する際の物件の収益力とは「家賃収入」のことを指します。収益還元評価方法には、「直接還元法」と「DCF法」の2種類あり、直接還元法は比較的計算が簡単で、DCF法は複雑な計算方法ですが、より正確に価値を計算ができる特徴があります。

直接還元法

直接還元法は、1年間の収益を還元利回りで割り、不動産価格を算出する方法です。
したがって計算方法は「1年間の収益÷還元利回り×100=収益還元価格」です。通常、利回りとは投資金額に対する家賃収入の割合のことですので「年間家賃収入÷投資金額×100」で算出します。
しかし、直接還元法で用いられる利回りとは、「還元利回り」であり、通常の利回りとは異なります。還元利回りは、「キャップレート」とも呼ばれる想定利回りのことです。想定利回りなため、該当物件と類似している周辺地域の物件の利回りを参考にして求めるのが一般的です。

つまり、還元利回りとは「近くの似た物件が利回り◯%くらいなので、この物件も◯%の利回りになるだろう」と、あくまでも想定して求めた利回りのことです。また、「1年間の収益」に関しても、1年間で得た家賃収入額を当てはめるのではなく、家賃収入から費用などを差し引いた「純収益」を入れて計算をします。

例えば、1年間の家賃収入額が100万円で、経費が20万円、還元利回りが5%の場合は、1年間の収益80万円÷還元利回り5%×100=収益還元価格1,600万円となります。直接還元法は、1年間の収益には純収益を当てはめること、還元利回りは周辺の類似物件を基に想定利回りを求めること、この2点さえ気をつければ簡単に算出できます。

DCF法

DCF法とはディスカウントキャッシュフロー法の略で、将来生み出されるであろう収益と売却した際の予想価格を割引して現在価値に置き換えて不動産価格を求める方法です。

直接還元法よりも計算は複雑になりますが、売却価格(復帰価格)や金利も考慮した上で算出できますので、より綿密な価格を計算できます。DCF法においてのポイントは、将来得られるであろう収益などを、割引して現在の価値に置き換える点です。
なぜ割引する必要があるのかというと、現在貰えるお金の価値と将来貰えるお金の価値は違うからです。
例えば、毎月の家賃収入が100万円だとして、現在の家賃収入が100万円、5年後の家賃収入も100万円貰えるとしても、同じ金額ですが、実際の価値は異なり、現在の家賃収入100万円の方が価値が高いです。なぜなら、現在の家賃収入100万円に関しては、100万円を使い、株式投資や投資信託で運用して配当や売買益を得ることもできますし、銀行に預けて利息を得ることもできます。

他にもさまざまな使い方が可能です。このように現在貰えるお金は、使い方によっては5年間の間に増やすことができます。また、5年後の家賃収入100万円に関しては確実に入ってくる保証もありません。そのため、現在と同じ家賃収入を5年後に生み出せるとしても、将来のお金よりも現在のお金の方が価値が高いです。

現在と将来の期間が長いほど、将来生み出せるお金の価値は低くなります。「現在のお金の価値>将来のお金の価値」と考えるため、将来生み出せるであろう収益を、現在の価値に置き換える際には割引をします。このように割引いた後の金額を「割引現在価値」とも言います。

実際にDCF法で不動産価格を求める計算式は非常に複雑なものとなりますが、シンプルにまとめると、【毎期の純収益の現在価値を合計したものと、将来の売却価格である復帰価格の現在価値を合わせたもの】のことです。◯年後の△円の現在価値の割引率をどうするかによって、割引現在価値が変わってきます(インフレ率を求めない場合)。

金融機関は積算評価法と収益還元評価法の2つの視点で担保価値を判断

積算評価法は不動産の資産価値に着目し、土地積算評価額と建物積算評価額を足し合わせて求めます。
収益還元評価法は不動産の収益力に着目し、直接還元法やDCF法にて求めます。ローン審査を行う金融機関は積算評価法と収益還元評価法の2つの視点で不動産の担保価値を判断しています。

それぞれ、計算方法など覚えるのは大変ですが、自分が投資しようと考えている物件が金融機関からどう見られるのかを知ることができますので、覚えておいて損はありません。
さまざまな観点で希望物件を見ることで、新たな発見があることもあります。早速、気になる物件の積算評価額や収益還元評価額を算出してみましょう。

著者情報
オールマイティなトレーダーを目指して日々奮闘中 投資で5000万円貯める事が目標。 基本ビビりなので日々可愛い利益をコツコツ貯めています。

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