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- 【不動産需要のピークはいつ?】2019年夏ころ発表予定の空き家率速報値(2018年調査分)に注目
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「人口減少が進んだら空き家率は増加するのでは?」
「どれくらいの速度で空き家率が上がっていくのだろう?」
と気になっている方も多いと思います。
本記事では不動産の空き家率や今後、国が発表する空き家率について調査して解説しています。
この記事を読めば、これまでの日本の空き家率の推移や今後の不動産の需要についてわかるようになりますので、ぜひ参考にしてください。
目次
空き家率を調査している「住宅・土地統計調査」とは
総務省統計局が実施する調査に「住宅・土地統計調査」があります。
この調査は昭和23年以降5年ごとに行われており、現在の調査内容は平成10年(1998年)に変更されたものが利用されています。
前回の調査が平成25年(2013年)10月1日に実施され、その後速報値が発表されたのが2014年7月29日。
ですから調査実施から発表まで約10カ月の時間を要しています。
配布をして回収をして集計、という手順を踏むわけですからこのくらいの時間がかかるのは当たり前といえるでしょう。
次は平成30年(2018年)になり、15回目の調査ということになります。
調査の目的は住宅と居住のある世帯、保有の土地の実態を把握することであり、全国編と地域別の現状を明確にすることで住生活の関連施策に役立てられています。
調査内容の中でも注目されているのが空き家率であり、総住宅数に対して空き家数がどのくらい占めているのかという割合を示しています。
空き家に関する問題は個人の問題としてだけではなく、町全体、社会全体として様々な問題が生じていますので早急な対策が必要になっています。
調査方法
調査方法は各市町村の人口数をもとに調査区域を選定し、21万調査区域を割り出します。
1調査区域につき17万戸を対象としますので、21万調査区域×17万戸=350万戸が数字として反映されることになります。
実際の全世帯数は5000~6000万戸といわれていますので、その差は大きいですが全てを調査するわけにはいかないというのが当然であり、調査の精度を考えて350万戸という数字に辿り着いたと思われます。
前回の調査結果から空き家率を分析
前回2013年の調査では総住宅数6063万戸に対して820万戸という空き家数で、空き家率13.5%と2014年に発表されました。
空き家の種類とその内訳
空き家は主に以下4つに分類することができます。
- 売却用
- 賃貸用
- 別荘などの二次的住宅
- その他
です。
下図の「空き家の種類別内訳」を見てみましょう。
前述した「平成25年住宅・土地統計調査(速報集計)結果の要約」の図とあわせて見ると、特に「その他」の持家系一戸建ての空き家率が急増しているのがわかります。
持家系一戸建ての空き家率が特に早いスピードで上昇する背景
空き家率全体においてその他が占める割合は、2008年35%、2013年39%と早いスピードで高まってきています。
その中でも持家系一戸建ては特に早いスピードで空き家率が高まっています。
この背景には
- 高齢化
- 核家族化
- 人口減少
が大きく関連しており、建物を引き継ぐことができないという事が背景にあります。
- 空き家を売却や賃貸するには改修が必要になり費用負担が大きくなる
- 更地にすれば固定資産税が膨らむ(更地の固定資産税は約6倍)
⇒何もせずにそのまま放置する方が得策となる
また、都市部では地方と比べると未だ低い空き家率となっていますが、人口減少により今後空き家率が上昇することは間違いありません。
空き家の管理状況によっては、腐朽や破損という大きな危険の要因になる可能性があることも知る必要があります。
前回13.5%だった空き家率は2018年には16.9%と急増すると予想
次の調査実施は2018年ですが前回の調査日程を参考にすると、速報値が発表されるのはおおよそ10カ月後の2019年夏ごろと考えられています。
野村総合研究所によると2018年・総住宅数6365万戸・空き家数1076万戸・空き家率16.9%と予測されています。
更に2033年には、
- 総住宅数7106万戸
- 空き家数2146万戸
- 空き家率30.2%
と驚愕の数字が並んでいます。
2033年には3戸に1戸が空き家ということになり、これを抑制するには総住宅数を減少させる必要があります。
しかし、それができたとしても、それ以上のスピードで世帯数の減少が進めば空き家率は上昇し続けるということです。
一刻も早い対策が望まれます。
主要都市の特徴から見る空き家率の現在と今後の行方
地域別にみると空き家率を見てみましょう。
空き家率が高い都道府県と低い都道府県を下表にまとめたので見てみましょう。
・空き家率が高い都道府県
都道府県 | 2013年 | 2008年 | |
---|---|---|---|
1 | 山梨県 | 17.2% | 16.2% |
2 | 愛媛県 | 16.9% | 14.5% |
3 | 高知県 | 16.8% | 15.7% |
4 | 徳島県 | 16.6% | 14.9% |
5 | 香川県 | 16.6% | 15.1% |
6 | 鹿児島県 | 16.5% | 14.8% |
7 | 和歌山県 | 16.5% | 16.5% |
8 | 山口県 | 15.6% | 14.6% |
9 | 岡山県 | 15.4% | 14.2% |
10 | 広島県 | 15.3% | 13.7% |
・空き家率が低い都道府県
都道府県 | 2013年 | 2008年 | |
---|---|---|---|
1 | 宮城県 | 9.1% | 13.2% |
2 | 沖縄県 | 9.8% | 9.8% |
3 | 山形県 | 10.1% | 10.6% |
4 | 埼玉県 | 10.6% | 10.3% |
5 | 神奈川県 | 10.6% | 10.0% |
6 | 東京都 | 10.9% | 10.8% |
7 | 福島県 | 11.0% | 12.4% |
8 | 滋賀県 | 11.6% | 11.6% |
9 | 千葉県 | 11.9% | 12.0% |
10 | 愛知県 | 12.2% | 10.7% |
空き家率が高いのは山梨県22%、次いで四国となっており、東京都、埼玉県、神奈川県は10%台と低い数字になっています。
都市部では単身の世帯が増加しているため、現在では低い空き家率を維持しています。
しかし、世帯数も人口減少とともに減少に転じますので、都市部も今後空き家率が上昇することは間違いありません。
空き家と高齢化の相関
空き家率と高齢化率の相関性が高いことから、空き家になる要因は居住者の死亡や引っ越し、長期入院や施設への入居などです。
空き家になっても荷物はそのままの状態であることが多いため、物置として空き家を利用している人が多いとも言えます。
しかし、長期空き家になれば腐朽や破損などは避けられず、そのような状態になる前に管理状況を見直す必要があります。
- 管理作業には費用がかかる
- 遠方のため管理が困難
- 利用の予定がないので管理する必要がない
管理がされていない空き家ほど腐朽や破損の比率は上がっており、危険を起こすことにも成り得るのです。
空き家率上昇により生じる近隣住民や地域全体の不安
空き家は家の持ち主だけの問題ではありません。
空き家が増えれば住民不在の町となり、町は勢いを失い寂しい町へと変化します。
その理由を具体的に見ていきましょう。
イベントや町おこしができなくなる
町は人々の賑わいや交流などが薄れ、それまで行われていたイベントや住民による町興しも出来なくなります。
町はひっそりと暗い町としての印象が強くなってしまうのです。
近隣住民の心配や不安も増大します。
衛生面や治安の悪化
空き家としての放置期間が長くなれば倒壊や破損の恐れがあり、衛生問題も生じます。
不法投棄や不審者、放火などによる治安の悪化も心配されます。
治安が悪化すると経済も悪化する
空き家の増加は不審者の侵入、放火などが増え治安の悪化へとつながります。
治安が悪化すれば、近隣住民の生活に影響を及ぼすだけでなく町全体にも悪影響となります。
町の治安を維持するために様々な手段や方法を取り入れることが必要になるのです。
また、住民が減ると行政の予算も削られますので、公道の修繕や公園の維持管理などにも影響を及ぼします。
町のスーパーや商店も経営ができず、撤退を余儀なくされます。
町としてあるべきものが機能できずに撤退を迫られると、新しい住民の流入がないばかりか更なる住民の減少へとつながるという悪循環に陥ってしまうのです。
空き家は持ち主だけの問題ではなく、町全体としての問題へと発展する大きな問題なのです。
結果的にゴーストタウンと化す
空き家が増えれば、人がいないという事から近隣住民の不安や心配が増大します。
- 人がいなければ、町のイベント開催や住民同士の町興しも難しくなる
- 町としての賑やかさや人々の交流は薄れる
- 結果、寂しい町へと変化する
このような悪循環へと陥って、挙句の果てにはゴーストタウンと化す可能性があります。
住民がいて初めて町として成り立つのですから、住民がいない町は町とは言えないという状況になるのです。
空き家の放置期間が長くなると生じる問題の数々
空き家の放置期間が長くなるとどのような問題が生じるのでしょうか?
空き家の問題は倒壊や破損の恐れがあるというだけでなく、浄化槽や排水の放置により汚水が放出する、害虫が大量に発生する恐れもあります。
また、立木の散らばり、動物が住み着くなどという問題も生じます。ゴミはそのままの状態になりますので、不法投棄も増えるでしょう。
管理者がいない空き家は、建物だけでなく敷地内全体において問題が生じます。
また、それは近隣の住居や公道、町にも悪影響を及ぼすことにもつながります。
空き家はその建物や敷地だけの問題だけでなく、町全体の問題にまで発展することもあるのです。
空き家対策強化とともに人口減少対策の早急な対応策が不可欠
少子高齢化とともに空き家率は増加の一途をたどっており、調査の度に過去最高の記録を更新しています。
次の調査は2018年ですが、これもおそらく過去最高の空き家率を記録してしまうことでしょう。
空き家率は地域によりその数字と特徴には差があり、解決策は一概には言えません。
新築住宅数と総住宅数の減少に向き合うと同時に、世帯数の減少や人口減少に歯止めがかかるような手段を見つけなければ空き家率は増加し続けてしまいます。
2016年には、空き家等対策の特別措置法が施行され、空き家への様々な取り組みが各自治体で行われています。
今後も長期的な視野で対策を講じないと不動産価格の暴落にも歯止めがかからない恐れもあります。
まとめ
以上、2019年に発表される空き家率に関する情報を解説しました。
内容をおさらいすると、
- 2019年に発表される空き家率は過去最高値に達してしまう可能性が高い
- 空き家率が高まれば経済に悪影響が出る
- 住宅数の減少&人口減少に向き合って対策を練る必要がある
という3点が挙げられます。
現状は、空き家率上昇を食い止めようと、いろいろな施策を講じても人口流出、住民減少という点が大きな弊害となってうまくいっていません。
空き家に対する取り組みを強化するとともに、人口減少を食い止めるための早急な対策が必要になっています。