• 米軍によるシリア軍事施設空爆は日本にどのような影響を及ぼすのか
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円高、原油価格の高騰による国内経済への影響について

2017年4月21日

「世界の警察」をやめると発言していたトランプ合衆国大統領がついにシリアの軍事施設の空爆に踏み切りました。

これはシリア軍による反政府勢力に対する攻撃の際、化学兵器の使用が疑われることに対するものだと発表されています。
ホワイトハウス報道官はシリア軍による攻撃には神経ガスのサリンが使用されたものと思われると発表しています。

この攻撃により、すでに円、原油、金が値上がりを見せています。
シリアのアサド政権を支援するロシアやイランと米国との関係、そして日本への影響について考えていきたいと思います。

化学兵器の使用に対する対抗措置として米国がシリア軍事施設を空爆に踏み切った

シリアのアサド政権と反政府勢力との間で内戦が続いています。
そんな中、アサド政権側による4月4日の爆撃で化学兵器が使用され、これにより多くの住民の命が奪われました。使用された化学兵器は神経ガスのサリンとみられています。

6年前にシリア内線が始まって以来初のアメリカによるアサド政権の軍事施設への攻撃

この化学兵器の使用に対して、これまでシリアの内線には関与しない姿勢を見せてきたアメリカもついに「国家安全保障上の重大な事案だ」としてシリア軍施設に対し約50発の巡航ミサイルで攻撃しました。

この攻撃により、アメリカはアサド政権だけでなく、シリアのアサド政権を支援しているロシアやイランとの衝突のリスクも負ったことになります。

「有事の金」「リスクオフの円」さらに地域全体のリスクから原油高に

金融の世界では「有事の金」「リスクオフの円」というと言われており、米軍によるシリア空爆のニュースが伝わるとすぐに反応が見られました。
ミサイル攻撃のニュースが伝わると投資家によるリスク回避の姿勢が強まり、円買いと株売りが始まりました。

これは円が比較的安全な資産とされているためで、リスクの高い株を売り、リスクの低い円を買っておこうというものです。リスクの低さで言えば、現物である金も買われ、値を上げています。
また、ミサイル攻撃の直接的な影響だけでなく、地域全体のリスクが高まっているとの見方から中東地域を一大産地とする原油の価格も高騰しています。

アメリカトランプ大統領はどのような意図をもってこの攻撃を行ったか

シリア軍による化学兵器の使用が事実だとすれば非人道的な行為であり、決して許されるものではありません。
同様に非人道的なならずもの国家と呼ばれる北朝鮮に対してもアメリカは強い手段に打って出る、というメッセージが今回の攻撃には込められているようです。

今回のシリア軍施設に対するミサイル攻撃はシリアに対する攻撃という直接的な意味だけでなく、シリア政府を支援するロシアやイランに対する圧力ととらえることができます。
シリアは北朝鮮同様に、他国からの支援なしでは成り立たない国です。ですから今回の攻撃はロシアやイランに対する圧力だと考えられます。

一方で、ロシアにはミサイル攻撃を事前通知したと伝えられていることから、ロシアとの全面的な衝突は避けようとしているトランプ大統領の姿勢が見て取れます。

シリア軍に対する空爆は実は2013年にも協議されていた

アメリカによるアサド政権に対する攻撃は今回が初めてです。
しかし、実は2013年にも同様に化学兵器の使用が疑われたことがあり、その際にはアメリカをはじめとする西側諸国による軍事介入が協議されました。

シリア軍による化学兵器の使用とその対抗措置という流れは今回と似ているので、今後どのような影響が考えられるかの参考になるかもしれません。

2013年当時にも原油価格が急騰したが、日本にはどのような影響があったのか

2013年にはアメリカによる軍事介入はなかったものの、今回のケースと似た対応が見られます。それは原油価格の高騰です。

日本は言うまでもなく、原油を輸入しています。
原油価格が高騰するとあらゆる分野でマイナスの影響が出ることが予想されます。また、当時は円安に振れていたので原油価格、円安のダブル効果で急騰していました。

2013年当時は軍事行動を協議し始めて2日で原油価格が7ドルの値上がり

2013年当時には、今回と違い協議のみで実際の攻撃は行われませんでしたが、その時でさえ、国際指標であるブレント原油がわずか2日間で7ドルの値上がりをしました。
これは率にすると6%以上の値上がりで、まさに急騰したと言えます。

また、当時は実際に軍事行動が行われた場合の予想としてさらなる値上がりも予想されていました。
シリアは長い間内戦状態にあり、産油量は微々たるものです。にもかかわらずなぜこのような原油の急騰が起こるのでしょうか。次の章で詳しく見ていきます。

今回のシリア空爆の影響についての現状と今後の予測

2013年のケースでも述べたように、シリア自体の産油量はそれほど多くありません。

しかし、原油価格に大きな影響を与えているのはなぜでしょうか?
それはシリアという国の位置と内戦の構図を見ていくと理解できるようになります。

シリアはイラクと隣接しており、さらにアサド政権の支援国家としてイランもあります。イラクは産油量が多く、イラクはホルムズ海峡に影響を及ぼすことができます。この2つのポイントについて見ていきましょう。

ホルムズ海峡とイラクが混乱すればさらに原油が急騰する可能性も

イラクは世界の産油量の3%を占める産油国です。
アサド政権と戦っているスンニ派の先頭集団は時には国境を越え、隣接するイラクでも活動を行います。このイラク南部を支配しているのがスンニ派と敵対しているスンニ派なのです。
このため、イラクの石油関連施設はシリア内戦からの飛び火に弱いともいわれています。

また、アサド政権の支援者であるイランの影響も考えなければいけません。
イランは原油タンカーが一日に何隻も往来するホルムズ海峡を混乱させることも可能です。イラン自身も米国により厳しい制裁を受けており、その上同盟国であるシリアを攻撃されるのであれば政府としてなんらかの行動を起こす可能性も否定できません。

現状では原油価格の上昇は落ち着いているが今後上昇に転じる可能性もある

今回の空爆の影響は限定的なものとなっており、現在では原油価格は落ち着きを取り戻しています。
これは今回のミサイル攻撃が限定的なものであり、アメリカの中東政策の最優先事項がISの打倒であることに変わりないという見方によるものです。

一番大きな懸念材料だった米ロ関係も一応の落ち着きが見られることも原油価格が落ち着きを取り戻した原因の一つでしょう。
現状では落ち着きを取り戻している原油価格ですが、今後は上昇に転じる可能性も否定できません。それがイランとの関係です。

ロシアとならんでアサド政権の支援者であるイランは5月19日に大統領選挙を控えています。そしてその1週間後にはOPEC総会が予定されています。
以上のような理由から今回のアメリカによるシリアの軍事施設の空爆は今後の原油価格の高騰につながる可能性も否定できません。

米国によるシリアの軍事施設の空爆の影響についてのまとめ

4月7日の米国によるシリアへの空爆は米中会談中であったこともあり、驚きをもって世界中に伝えられました。
ニュースが伝わった当初こそ、投資家がリスク回避の姿勢をとり円高、金上昇、原油高となりましたが、その後から現在まで落ち着きを取り戻しています。

今回の空爆による直接の影響は限定的だったと考えて問題なさそうですが、シリア周辺の動きは今後も注意しておく必要があります。

著者情報
オールマイティなトレーダーを目指して日々奮闘中 投資で5000万円貯める事が目標。 基本ビビりなので日々可愛い利益をコツコツ貯めています。

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