• 企業はなぜ業績修正するのか?上方修正・下方修正のメリット・デメリット
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上方下方の業績修正が与える市場への影響を知ることで投資に強くなる

2017年3月10日

決算時期が近付いてくると、ニュースなどで「◯◯社が業績を下方修正」「△△社が上方修正し利益□□億円」など、企業の上方修正や下方修正に関する情報が流れます。

業績修正の際の、上方修正や下方修正とはどのような意味があるのでしょうか。
また、ニュースに流れ注目されるのは、なぜなのでしょうか。

実は、上方修正や下方修正の情報は、企業だけでなく、投資家にとっても非常に重要な情報です。
修正を元に株価も大きく変動する可能性があります。

ここでは、業績修正の内容やメリット・デメリットについて解説いたします。

従来計画より業績が上回る上方修正

企業が業績予想を修正する際は、市場にとって良い場合と悪い場合があります。

良い場合は株価が上がり、投資家が報われるような内容です。

従来予想の値よりも業績が上振れして着地する「上方修正」がまさにそうです。
上方修正とは、元々ある計画や予想に対して、期の途中で業績が上回りそうな際に発表されます。

主に売上高、営業利益、経常利益、利益があります。

例えば、2017年2月28日に地盤工事企業のライトは、2017年3月期の連結純利益が当初より10%増の65億円になると発表しました。

従来予想していた数値よりも7億円の上方修正の発表です。また、2017年2月27日には、技研興業が、2017年3月期の連結経常利益を従来予想としていた3.6億円に対し、6.8億円に上方修正しました。

モロゾフも2017年2月28日に2017年1月期の経常利益を従来予想していた17億円から、20.6億円に上方修正をしました。
野村証券も経常利益の見通しを1.6%上方修正したりと、2016年(2017年期)だけ見ても、多くの企業が業績の上方修正をしています。

業績の上方修正がされることで、多くの場合、市場が反応し株価が上昇します。
上方修正の数値が高ければ高いほど、市場の反応は強くなります。

企業が業績の上方修正だけでなく、株主への配当増なども一緒に発表した場合も市場の反応は強いです。

ただし、既に上方修正の情報が市場に出回っている場合は、株価に既に織込み済みのことも多く、修正発表されても株価は横ばいで推移したり、市場予想より低い数値だった場合は株価が下がることもあります。

株価は基本的には企業の業績と連動しますが、市場の期待・心理が反映されます。「市場が予測していない場合」→企業が上方修正を発表→サプライズ発表になり数値が高いほど株価が上がる。

「市場が上昇修正することを知っている場合」→企業が上昇修正を発表→市場予想より低いと落胆で株価が下がる、市場予想より高いと株価が上がる、予想とあまり変わらない場合は横ばい。などという値動きをします。

また、企業の計画の作り方のクセによっても市場の反応は変わります。保守的で堅実な計画を作る会社であれば、上方修正しても影響は限定的です。

逆に最初から強気な計画を作る会社が上方修正した場合は、高い伸長を表しますので影響は大きくなる傾向があります。

従来計画より業績が下回る下方修正

上昇修正とは反対に下方修正というものがあり、当初の計画・予想よりも業績が下回る場合に発表します。

例えば、元々は通期で利益100億円を計画していたとして、期中で100億円には届かないと判断し、利益計画を50億円に変更するなどのことです(50億の下方修正)。

株主にとっては、業績が悪いことでメリットはありませんので、売りが入り株価が下がります。
2017年2月28日に、2017年3月期の通期予想の下方修正を発表したナカヨは、当初営業利益計画を10.70億円としていましたが、2.80億円へ下方修正しました。

ピクスタも、2017年2月24日に、2017年12月期の連結最終利益を当初予想していた5,800万円から、400万円まで93.1%大きく下方修正しました。

NCS&Aも2017年3月期の連結経常利益を当初予想していた4億円から、2.5億円へと下方修正しました。

2016年だけでも、多くの企業が下方修正をしています。上方修正同様、下方修正に関しても、「市場が予想していたか」が、株価の値動きに影響を与えます。

下方修正が入ることで基本は株価は下がるのですが、「市場が予測していない場合」→企業が下方修正を発表→下方修正の数値が高いほど株価が下がる。

「市場が下方修正することを知っている場合」→企業が下方修正を発表→市場予想よりさらに低いと落胆で株価が下がる、市場予想より高いと株価が上がることがあります。

また、保守的な計画を作る会社が下方修正すると影響は大きいですが、強気な計画を作る会社が下方修正した場合は、影響は限定的になる傾向があります。

上方修正も下方修正も、発表の義務があるわけではありませんが、概ね「売上高10%以上、経常利益30%以上、利益30%以上」の変動率が合った場合に公平性の観点から発表を行っています。

企業が業績修正する理由とは?メリット・デメリットは?

企業が業績修正をする場合の理由はさまざまです。

例えば輸出企業の場合、想定以上の円高進行によって下方修正することがあります。
企業も多少の円高を想定していたとしても、想定以上に為替相場が円高に進行することもあり、輸出企業は大打撃を受けます。

逆に想定以上に円安に進行した場合は、上方修正が入る可能性があります。

また、予定していた新商品の納品が遅れたことにより下方修正が入ったり、想定以上にゲームアプリが人気になり上方修正が入ったり、主力商材の販売伸び悩んで下方修正など、業績修正は企業別に多くの理由があります。

上方修正に関しては、良いニュースなので分かった時点での発表が多く、下方修正に関しては分かってすぐではなく、業績発表などの際に合わせて公表することが多いです。

業績修正する事のメリットとデメリット

上昇修正する場合は、市場から注目され、より多くの人が株を購入し、株価も時価総額も上がります。

株価が上がることで多くの資金を集められ、投資など積極的に行えるようになります。また、ニュースなどでも取り上げられるため、企業の宣伝にも繋がります。

下方修正する場合は、株の売り注文が増えるため、株価も時価総額も下がり資金を集めにくくなります。企業イメージも良くなくデメリットばかりです。

上方修正は株価が上がる、下方修正は株価は下がる、「織込み済み」に注意!

上場企業は業績の計画や実績を開示するなかで、上方修正や下方修正を行います。

上方修正は企業にとっても市場・株主にとってもメリットが多く、下方修正は企業も市場・株主もデメリットばかりです。

強いてメリットを挙げるのであれば株価が下がり、買いやすくなることぐらいです。

ただし、上方修正も下方修正も、発表前に既に市場に知れ渡っている場合は、ある程度までは市場は織込み済みですので注意が必要です。

著者情報
自虐に突っ走る投資初心者。腹八分目を肝に銘じつつ、欲と恐れと戦いながらどこまで我慢できるか毎日チキンレース繰り広げてます。

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