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- ドゥテルテ大統領が南シナ海のパグアサ島に国旗を立てるってホント?
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大統領選挙中から過激な発言が注目されてきたフィリピンのドゥテルテ大統領が2017年4月6日、領有権問題が取りざたされている南シナ海のスプラトリー諸島(中国名・南沙)のうち、実効支配しているパグアサ諸島に上陸し、国旗を立てる意向を示しました。
フィリピンの独立記念日である6月12日に上陸するとのことで、なんらかの政治的なメッセージが込められていると考えられます。
今回はこのドゥテルテ大統領がパグアサ島に国旗を立てるいう意向を示した意味、近隣諸国への影響、そして日本への影響はあるのかについて考えてみたいと思います。
目次
4月6日、ドゥテルテ大統領がパグアサ諸島に国旗を立てる意向を示した
2017年4月6日、フィリピンのドゥテルテ大統領が南シナ海に面するパラワン島の軍基地を訪問した際、軍に対しフィリピンが領有権を主張し、実効支配しているスプラトリー諸島の無人島や岩礁に展開し、構造物を建造するよう命じたことを明らかにしました。
また、ドゥテルテ大統領は自らがスプラトリー諸島で実効支配している最大の島であるパグアサ島を訪れ、国旗を立てる意向を示しました。
領有権問題で揺れるスプラトリー諸島の無人島に国旗を立てると発表したことの意味、部隊の展開を命じたことやその意味などについて詳しく見ていきたいと思います。
ドゥテルテ大統領が記者団に対し語った内容は中国の反発を招くこと必至
ドゥテルテ大統領が南シナ海に面するパラワン島の軍基地を訪問した際にパグアサ島に上陸し、国旗を立てるとの意向を示したことは、スプラトリー諸島の大部分の領有権を主張している中国の反発を招く可能性が十分にある発言でした。
大統領は他にも無人島や岩礁を占拠するように軍に命じたことも明らかにしました。
問題になっているパラワン島に上陸し、国旗を立てるだけでなく、同海域に配置する兵士のための兵舎を建てる可能性についても言及しており、中国に対する挑発ともとれる発言です。
ちなみに、パラワン島はスプラトリー諸島の中でフィリピンが実効支配している中で最大の無人島であり、中国が軍事拠点化している人工島の1つであるスービ礁の近くでもあります。
ドゥテルテ大統領の発言の意図は?過激発言の裏には深い意味があるのだろうか?
ドゥテルテ大統領のこの発言は中国をはじめ、スプラトリー諸島の領有権を主張しているマレーシア、台湾、ブルネイ、ベトナムに対しても決していい印象を与えるものではありません。
それは分かり切ったことであるにも関わらずこのような発言をした意図は何なのでしょうか?
ドゥテルテ大統領の過激な発言はしばしば日本でもニュースになりますが、実は実行されていないものも多くあります。
また、麻薬密売組織との戦いも中断するなど言葉通りに受け取るわけにはいかなそうです。
この発言と同時に、記者団に対しドゥテルテ大統領は無人島の領有権はフィリピンにあるのだから、そこに人が住むべきだ、という持論を展開。
また、領有権で争っているのであればまだ誰も住んでいないのであれば早く住んだ方が自国のものだという主張がしやすくなり、強い立場を取れるとも発言しています。
実効支配するほかの島や岩礁に構造物を建造するよう命じたとも併せて考えれば・・・
パラワン島への上陸と国旗を立てること、周辺の無人島や岩礁を占拠するよう命じたことと、この発言を合わせて考えてみると、ドゥテルテ大統領の意図が見えてきそうです。
ドゥテルテ大統領がパラワン島への上陸をすると言っているのはフィリピンの独立記念日である6月12日です。
発言を言葉通りに受け取れば、そのころには実効支配している他の無人島や岩礁を軍が占拠し、兵舎などの構造物がすでに出来上がっているかもしれません。
しかし、実際には中国や他の東南アジアの国も黙ってはいないでしょうから、様々な妨害や交渉が行われるはずです。
そんなことをしていればあっという間に6月12日は来てしまうわけですから、現実的ではないような気もします。
建造物を建造するという事は領有権を強く主張し、人が住める環境を作ること
そもそも無人島や岩礁に構造物を建造するということは、そこに人が常駐することを意味します。
つまり、無人島が無人島でなくなるという意味です。そうなれば、その島には人が住んでいることになり、自国民の居住権を守るという意味でも領有権を強く主張できるようになります。
一方で、実際には現実が難しいことと併せて考えてみると、領有権を誇示するための発言とも受け取ることができます。
スプラトリー諸島の領有権を主張する各国の反応は?
ドゥテルテ大統領の発言を受けて、中国は早速パラワン島への上陸計画を中止するよう要請を出しました。
もともとフィリピンと中国はスプラトリー諸島の領有権をめぐっては、対話を通じて解決する方向性を持っていたので要請という比較的穏やかな反応が見られました。
それに対しフィリピンのドゥテルテ大統領は4月13日、訪問先のサウジアラビアで中国との友好を尊重して6日の発言を撤回する旨を発表しました。
これにより、中国からの要請に応じたカタチで強い反発には至っていません。
発言は撤回したが、今度は息子を向かわせる可能性がある
中国からの要請を受けて軍の展開、構造物の建設、パラワン島への上陸などの発言を撤回したドゥテルテ大統領ですが、自らは上陸しないけれども息子を上陸させる可能性があるとも言っています。
中国の要請を受けてあっさり発言を撤回したままでは領有権問題について弱腰という印象をフィリピン国内で持たれるのを避けるためだと思われます。
発言の目的がそもそも領有権の誇示ということであれば、息子を上陸させる可能性もある、と言っておくことは有効な手段ですね。
もし本当にドゥテルテ大統領がパグアサ島に上陸し国旗を立てた場合、日本への影響は?
発言の撤回により問題が大きくなることはなさそうですが、もし実際に発言通りの行動をドゥテルテ大統領が行った場合、日本にはどのような影響があるのでしょうか?
まず、実際にドゥテルテ大統領がパグアサ島に上陸し、国旗を立て、領有権を強く主張した場合、中国が猛反発するでしょう。
それと同時に中国は他の地域でも領有権問題を抱えていますので、他の地域での領有権問題に対して厳しく対応することが予想されます。
日本と中国の間には尖閣諸島の問題があります。
中国が尖閣諸島の領有権問題に対して厳しく対応してくるようになると日本も固有の領土である尖閣諸島周辺の警備を強化するなどの対応が必要になります。
そうなれば、国内の情勢、中国との関係は悪化していくことになるでしょう。経済の分野ではもはや中国との関係はなくてはならないものです。
特に中国に工場を持つ企業などはなんらかの問題を抱えることになるものと考えられます。
実際にドゥテルテ大統領がパグアサ島に国旗を立てることはないだろうが・・・
4月6日の発言から中国からの反発もあり一週間後には発言を取り消したドゥテルテ大統領。実際にドゥテルテ大統領がパグアサ島に上陸し国旗を立てることはないと見て問題なさそうです。
問題のパグアサ島はスプラトリー諸島の大きな無人島であり、スプラトリー諸島をはじめ、南シナ海には日本と中国も含めて多くの領有権問題が存在しています。
その中でどこか一つの問題が大きくなると他の問題にも影響が出るという意味では今後もドゥテルテ大統領の発言には注意をしておいた方がよさそうです。