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- 業績が不振でも高いPERを示す場合は何を意味しているのか?
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株への投資をする際、どの銘柄を買うかは誰もが一番頭を悩ませるところですよね。銘柄選びには企業の業績や、各種の指標、チャートの動きなどを見て決めると思います。
その銘柄を決める段階でPERを重視している人も多いのではないでしょうか。
PERで割安な株を見つけ、そこに投資をする、というスタイルは決して珍しくないものだと思います。
通常業績が落ち込むと株価は下がるので相対的にPERも下がることが多いようです。
今回の記事は業績が振るわないにも関わらずPERが高い会社の株価をどのように理解すればいいのか、PERの他にはどんな方法で株価の割安感を判断するのかを考えていきます。
目次
業績不振企業なのにPERが高いケース
株投資をするときに欠かせない指標の一つにPERがあります。これは株価収益率のことで株価が下がればPERは下がり、利益が下がるとPERは上がる要因になります。
そもそもPERは「株価÷1株利益」で求めます。そのため、業績不振で利益が減るとPERは上がります。
また、PERは投資額を回収するのにどれくらいの期間がかかるか、ということの指標にもなります。例えばPERが10倍であれば投資金額と同額を利益として得るのに10年かかり、20倍ならば20年かかるとうことになります。
ですから、一般的には利益が減りPERが高くなると回収期間が長くなるのでお得度が低くなり、割高と判断され株価は下がっていきます。
株価も利益も両方とも下がればPERが高くなるということはありません。
そこで、業績不振にもかかわらずPERが高い水準にある企業について考えてみます。
PERを求める計算式によれば、業績不振で利益が減っても、株価が下がらなければPERは高くなることになります。つまり、業績不振だがPERは高いケースとうのは、1株益の低さに対して見合うだけ株価が下がっていない、ということになります。
業績の低さに対して株価が割高な状態を維持している、ととらえることもできます。
株価が下がっていないとういのは何を意味するのか
業績が不振であるにも関わらず株価が下がらないということは株主がまだその会社に期待して株を持ち続けている、ということが考えられます。
株は将来への期待を大きく反映するからです。
多くの場合、会社の資産の蓄えがあったり、過去の業績から営業基盤がしっかりしていると判断され、業績の回復を期待するという投資家心理が働いているのかもしれません。
例えば任天堂やソニーなどを考えてみます。両社ともに極度の業績不振に苦しんでいた時には利益が大きく落ち込みました。任天堂はピーク時の22分の1、ソニーは18分の1にまで落ち込んだのです。しかし、その時期の株価はそれほど落ち込みませんでした。
任天堂もソニーも過去の業績を考えると今後ある程度の回復が期待できますし、ある程度の資産の蓄えもあるでしょう。そういったことを総合的に判断した投資家たちが多いので株価が下がらなかったと考えられます。
PERが高いということは何を意味するのか
業績不振にもかかわらず株価が下がらない理由をここまで見てきました。
投資家がその会社の資産の蓄えや業績の回復に期待しているため、そこまで株価が下がっていないと考えることができそうですね。
株価がそれほど下がらず、業績不振などで利益が減るとPERは高くなります。PERが高い銘柄は割高だと言われますが、同時に多くの人が期待している、ということも意味します。
PERが高くしかも成長し続けている銘柄は確かに今後も株価が上がることが期待できますが、PERが高くても業績が不振であるとういことはどのように理解すればよいのでしょうか。
すでに紹介してきたように、会社の資産の蓄えがある程度あり、営業基盤がしっかりしているので今後業績を回復するだろうという考え方ができます。
しかし、本当にそう考えていいのでしょうか?次の章でそれを確かめる方法を考えてみます。
PERとは違ったモノサシを使って確かめてみる
あまりにも低成長だったり、赤字の企業の株価の割安感はPERでは測ることができません。
そこでPBRという指標を用います。PBRとは株価純資産倍率のことで「株価÷1株あたり純資産」で求められます。資産の蓄えが多ければPBRは低くなります。
PBRは利益などの成長の要素を反映しないので、低成長だったり、赤字の企業の割安感も判断することができます。PBRが高ければ割高、低いと割安と言われます。
業績不振であってもPERが高い場合、株価を支えているのはPBRの低さ、つまり資産の蓄えがあるからだ、という考え方もできます。
「地力はあるから、今後ある程度回復するだろう」と考え1株益を計算し直す
PBRを使って割安感をみていく場合、今後の成長については反映させることできません。
営業基盤がしっかりしていると判断する場合、業績がある程度回復すると予想できます。
その場合、ピーク時の1株益の半分まで回復すると予測すれば半分のEPSでPERを計算し直したりします。
このように、表面に現れているPERの数字ではなく、将来への期待も含めてPERを判断する投資家もいるので株価が下がらない、という考えもあります。
業績不振でもPERが高い会社に投資するときの注意点
業績不振でもPERが高い会社は将来性を期待されていると考えていいのでしょうか?
その答えは慎重にしなければいけませんが、業績不振であっても株価が下がらない理由についてはいくつかの可能性を見てきました。
1つは会社の資産の蓄えに対する信頼。これはPBRという指標を使って確かめることができます。
PBRは利益については反映しないので、一時的な業績不振の際には株価の割安感をはかることができるかもしれません。
PBRが低ければ会社の純資産に対して株価が割安だと言えます。
もう1つは今後の業績の回復への期待、予想です。これまでの過去の実績から営業基盤がしっかりしていると判断されれば、ある程度の業績の回復を見込むことができます。
その場合には、表に出ている1株利益ではなく、ピーク時と比べてどの程度回復するかを予想し1株利益を計算し直すため、1株利益が大きくなりPERは下がることになります。
ピーク時に対してどのくらい業績を回復するかの判断はとても難しいですが、慎重に(低めに)見積もって考えるのがいいかもしれません。
業績不振でもPERが高い会社への投資を考えるときにはPERの数値だけを見るのではなくPBRなどの他の指標や、未来への期待、将来の利益がどうなるかをしっかりと考える必要がありそうです。