• ドルコスト平均法とは?長期投資をする際のメリットと注意点は知っておこう
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ドルコスト平均法のメリットは多いが、場合によっては損をすることもあるので注意しながら利用しよう

2017年10月12日

投資にはいろいろな手法があるのはご存知の通りで、大きく分ければ長期保有か短期保有のどちらを好むかなどといった、投資家自身の性格や好み、投資戦略で決めていくものになります。
金融商品は相場が常時変動しています。ですので、特に長期保有派にとっては購入タイミングが非常に重要になってくることは想像に難くありません。

例えば短期売買で利益を上げていく場合、特に相場が高めであるのか低めであるのかは重要ではなく、短時間の変動の中で、購入時より売却時に株価が高ければいいわけです。
しかし長期派の場合、仮に高値で推移しているときに購入してしまうと、損失が出ないようにするためにはさらに高い相場に移行したタイミングを狙い撃ちして売却しなければならなくなります。これは投資としてはかなり不利なものになります。

とはいっても、相場が高いか低いかは結果でしか判別できません。
ですので、長期保有を好む投資家はどんな状況であってもいいタイミングで株に投資して売却するという方法をとらなければなりません。そんなときに利用される常套手段がドルコスト平均法です。

ドルコストというくらいですから、株式投資ではなくFX取引の手法と思っている人もいるかもしれませんし、株式でも米ドル建ての外国株でないと利用できないと思われるかもしれません。ここではそんなドルコスト平均法について改めて勉強し直してみましょう。

まずはドルコスト平均法とはなんなのかをしっかりと理解しよう

ドルコスト平均法とはどんな金融取引のテクニックなのでしょうか。
名称からして外貨あるいは米ドル建ての株式売買に関する手法と思われがちですが、実際は違います。日本国内の株式投資にも利用できる、特に長期保有派に向いた金融商品の購入手法なのです。

ここではそんなドルコスト平均法についての基本的な事柄を紹介します。株式投資にどのように利用されるのか。いったいどんなメリットがあるのかなど、ドルコスト平均法について改めて知っていただこうと思います。

ドルコスト平均法は定額で定期的に金融商品に投資する方法

ドルコスト平均法は名称から勘違いをされる場合がありますが、別名は「定額購入法」と呼ばれるもので、こちらの方が特にドルコスト平均法の特徴を表した名称になっていると思います。

ドルコスト平均法を平たく説明すれば、株式投資や投資信託などの長期保有を望む投資家が、毎月(あるいは自分で定めた一定期間ごと)、決まった金額の分だけ投資対象商品を購入(投資)して保有していくというものです。

ドルコスト平均法は株式でいえば口数などは一切気にせず、毎回、同じ銘柄を同じ金額だけ買っていくというものです。ですので、別名が定額購入法というわけです。

株価だけでなく、投資商品というのは常に価格が変動しています。ですので、口数を固定すると購入金額が毎回変化することになります。

逆に、ドルコスト平均法のように定額にすると、価格が高ければ購入口数が減り、安ければ口数が増えます。口数が変動する代わりに投資資金は一定で管理がしやすいメリットがあります。これがドルコスト平均法の最もベーシックな部分になります。

ドルコスト平均法はリスクを抑えることができるから投資家に好まれる

ドルコスト平均法が長期派に好まれるのは、理論上、リスクを抑えることができるというメリットがあるからです。

例えば、投資したい株式が高値で推移しているとします。ですが、株価の推移はこれまでの水準との比較に過ぎず、企業の業績がうなぎ登りになれば、株価もさらに上昇します。しかし、それは結果が出るまでわかりません。これはどんな投資にもつきまとうリスクです。

そんな高値で推移している状態で投資してしまうと、以降、資産価値がそれ以上に上がらず、株価が下がってしまう懸念の方が強くなります。つまり、大きな損失を抱える可能性が高まるのです。

そんなリスクを下げるために、一度に投資できる資産をすべて投入するのではなく、例えばその金額を12ヶ月に等分して、毎月決まった金額だけ購入するようにするのです。そうすると、同じ投資額でも株価が高いときは購入する口数が少なく、株価が安いときは多く購入できるので、ドルコスト平均法の理論上は最終的に平均値に近い株価で投資できるということになるのです。

均等の投資方法には株式の口数を毎回同じにする方法もありますが、この場合、購入金額にばらつきが出て、ドルコスト平均法ほど平均値には近づかないとされます。

ドルコスト平均法にはそういったメリットがあるので、好まれるのです。

ドルコスト平均法はどんな投資家のタイプに向いているのか?

ドルコスト平均法には定額購入することで投資している資産が平均値に近づくというメリットがあります。
しかしながら、すべての投資家が利用できる必勝法でもない点には注意を向けるべきです。ドルコスト平均法には投資家の投資スタイルによって向き不向きがあるので、その点をしっかりとわきまえて利用するようにするべきです。

ここではそんなドルコスト平均法に向く投資家がどんな人なのかを調べてみました。

まずは長期保有を好む投資家あるいは投資初心者にオススメの方法だといえる

ドルコスト平均法は間違いなく長期保有派に向いています。
特定の商品を毎回同じ金額で買い続けることが平均値に近いレートで保有することのできる最良の手法だからです。投資対象となる商品は株式でもいいですし、投資信託など様々な金融取引にも利用できます。まずこれが大前提になります。

それから、投資初心者にもドルコスト平均法は使いやすいです。投資商品が大きく下落する可能性のない、ある程度安定した銘柄であれば、あれやこれやとテクニックを駆使するより、単純にドルコスト平均法を利用して決まった金額だけ買い続けていればいいだけですので、簡単だからです。

注意点はドルコスト平均法を利用することで購入している商品の単価がいくらになっているかをしっかり管理することです。
いくらドルコスト平均法で平均値に近づいているといっても、自身でそのレートを把握していなければ売却のタイミングが掴めません。その管理の仕方だけはしっかりと自分で確立して、ドルコスト平均法の投資に活かすようにしましょう。

ドルコスト平均法は安定的に長期運用したい投資家が利用するべき手法なのです。

逆に短期のハイリスク・ハイリターンを求める投資家は要注意?

ドルコスト平均法はまず、短期売買には向きません。ドルコスト平均法は基本的に長期買い付けで単価を平均化させ、レート変動のリスクや、高値で買ってしまうことのリスクを低減させるものです。短期売買ではドルコスト平均法は利用できないといってもいいでしょう。

また、ドルコスト平均法の手法に限らず、長期保有をする場合は管理が必要になります。
単純にいえばですが、短期売買は購入口数と購入レートを見て、赤字にならないようにするくらいでもやっていける場合もあります。買ったときよりも売るときが高ければいいわけです。

しかし、ドルコスト平均法では毎回購入する単価が変わってくるので、そのたびに保有株数とその平均単価をチェックしておかなければなりません。
すべての保有株の平均によって売却のタイミングを考えることになるので、こういった管理ができない投資家にはドルコスト平均法は向きません。

あくまでも安定した利益を追求する投資家向きなのがドルコスト平均法で、ハイリスク・ハイリターンのスピード勝負には使いづらいです。

長期運用を好む投資家にとってドルコスト平均法は万能なのか?

気になるのは、ドルコスト平均法が長期保有派の投資家にとって実際的に万能な商品購入の手法なのかどうかということです。
万能であればある程度安定した株式銘柄さえ見つけられれば、あとは定額で毎月投資するだけという、非常に簡単な取引手法になり、利用する価値があります。ですが、実際にそうなのかそうでないのかは、かなり重要なポイントになります。

ここではこれまで見てきたドルコスト平均法が実際には万能なのかどうかを調べてみました。よく金融取引に絶対はないといいますが、ドルコスト平均法もそうなのでしょうか。

そもそも短期派には向かないので、ドルコスト平均法は万能とはいえない

まず、ドルコスト平均法は万能というわけではありません。
すでに前章で紹介したように、基本的には長期保有を好む投資家に向くものであり、売買タイミングがすぐに図ることができないことから短期派には向かないと説明しました。もうこの時点で万能ではないということがわかるかと思います。

また、ドルコスト平均法は購入方法が定額制という単純明快な取引手法ではありますが、管理はしっかりとしておかないと、平均単価がわからなくなって売買タイミングを見誤り、最終的に最適な利益を得られないかもしれません。
こういった管理は投資家自身がしなければならず、システマチックに売買を進められないので、やはり完璧なものとは言い難いでしょう。

ですので、ドルコスト平均法も万能ではなく、あくまでも長期保有の取引テクニックのひとつとして利用するようにしたいところです。

ドルコスト平均法は使いやすく見えてもリスクがない訳ではない

ドルコスト平均法におけるメリットは、定額で株式に投資することで1株あたりの単価が平均化されるという仕組みであります。
しかし、気をつけないことにはそれが大きなデメリットやリスクになるということです。

例えば、購入したい株式がずっと高値で推移していたとします。このときにドルコスト平均法を利用して延々と買い続けると、結果的にドルコスト平均法で購入した単価平均が上昇してしまうことになります。
株価の変動は誰にも予測がつかないものです。今が高いか安いかはある程度結果が見えたあとでなければわかりません。高止まりした株価で定額を買っていれば、最終的に平均が底上げされることになります。

投資開始時点では安かったものでも値上がりが続けば平均単価は上がっていきます。
上がりきったところで相場が崩れてくると、売買を急ぐ必要が出てきます。逆に、下落を続けてしまう相場は平均が下がって有利に見えても、売却できる価格自体が下がっていることになり、ドルコスト平均法のリスクが顕著になります。

理想としてはある程度のレンジの間で変動する、安定した銘柄に投資するのがいいのかもしれません。あるいは、そこそこのレートから相場が上がり続けている段階で売り切ってしまうことが、ドルコスト平均法での利益の出し方になります。

ドルコスト平均法を利用することで具体的にどのくらい有利になるのか調べてみた!

さて、だいたいドルコスト平均法のことがわかってきたかと思います。
ここでは、実際にドルコスト平均法を利用して投資を進めた場合と、普通に購入を継続する(つまり一定口数を購入し続けること)場合、本当にドルコスト平均法は平均単価に近づくのかを検証したいと思います。

以下に表も交えて検証していきますが、これはあくまでもドルコスト平均法の一般的な理論の延長線上にあるもので、状況によってはこのような結果になるとは限りませんので、あくまでも参考として見てください。

1万円、3万円、10万円でドルコスト平均法を利用してみた場合を比較

※ドルコスト平均法は日経平均株価の2016年6月から6ヶ月間を参照
※一定口数購入はドルコスト平均法の購入総株数を6ヶ月で割った数で購入

【見方の参考】
2ヶ月目 1万円(2万円)・0.60口(1.24口)の場合
月数 その月の投資額(累計額)・その月の購入口数(口数の累計)

1万円買付した場合のドルコスト平均法と一定口数購入
ドルコスト平均法 一定口数購入
買付金額 株数 買付金額 株数
1ヵ月 10000円 0.64口 9190円 0.59口
2ヵ月 10000円 0.60口 9776円 0.59口
3ヵ月 10000円 0.59口 9964円 0.59口
4ヵ月 10000円 0.61口 9705円 0.59口
5ヵ月 10000円 0.57口 10281円 0.59口
6ヵ月 10000円 0.55口 10802円 0.59口
合計 60000円 3.56口 59718円 3.54口
平均買付単価 16854円 16869円

 

3万円買付した場合のドルコスト平均法と一定口数購入
ドルコスト平均法 一定口数購入
買付金額 株数 買付金額 株数
1ヵ月 30000円 1.92口 27725円 1.78口
2ヵ月 30000円 1.80口 29793円 1.78口
3ヵ月 30000円 1.77口 30060円 1.78口
4ヵ月 30000円 1.83口 29281円 1.78口
5ヵ月 30000円 1.71口 31017円 1.78口
6ヵ月 30000円 1.65口 32589円 1.78口
合計 180000円 10.68口 180465円 10.68口
平均買付単価 16897円 16897円

 

10万円買付した場合のドルコスト平均法と一定口数購入
ドルコスト平均法 一定口数購入
買付金額 株数 買付金額 株数
1ヵ月 100000円 6.40口 92365円 5.93口
2ヵ月 100000円 6.00口 98256円 5.93口
3ヵ月 100000円 5.90口 117932円 5.93口
4ヵ月 100000円 6.10口 97548円 5.93口
5ヵ月 100000円 5.70口 103330円 5.93口
6ヵ月 100000円 5.50口 108569円 5.93口
合計 600000円 35.60口 618000円 35.58口
平均買付単価 16854円 17369円

平均買付単価はやはりドルコスト平均法の方がやや有利!

上記の表のように、ドルコスト平均法の場合、投資額に関わらず平均単価が同じになるメリットがあります。
一方で、口数を一定数に決めて投資した場合(このケースではドルコスト平均法と総数が同じになるように合わせました)、このレートにおいては投資総額には大きな違いは見られませんでしたが、結果的に株価の単価は高くなっています。

株価次第で投資総額も大きく変わりますし、平均単価が必ずしもドルコスト平均法の方が有利にならない可能性もあります。
しかし、今回は6ヶ月程度の期間で見ていますが、これがより長くなればなるほど平均化が顕著になるので、多くのケースにおいてドルコスト平均法の方が、長期間の投資においては有利と見た方がよさそうです。

ドルコスト平均法で思わず見落としてしまいそうな注意するべき点とは?

ドルコスト平均法も必ずしも利益を上げられる株式投資の手法ではありません。
あくまでも長期保有の際の買い方の一種と理解しておきましょう。なぜなら、場合によってはドルコスト平均法では利益を上げられるどころか損失を被る相場もあるからです。基本的に長期保有である程度安定しているか、安定的に値上がりしている相場であれば、ドルコスト平均法で高確率にて利益を上げられます。しかし、そうでない相場もあるので注意が必要です。

ここでは平均化されることばかりに気が向いてしまい見落としてしまうような、ドルコスト平均法における些細な注意点を確認しましょう。ドルコスト平均法が有利なときや不利なときをしっかりと見極める目を持つべきです。

ドルコスト平均法が突然に不利になるときはどんなケース?

 
ドルコスト平均法が不利になるケースというのは下落を続ける相場においてです。

ドルコスト平均法の弱点は高止まりしているときに買い続けてしまうと、平均買付単価が上昇し、売却時に非常に不利になるということをすでに紹介しています。
ですので、その逆であれば平均単価が下がり、売却のタイミングも掴みやすい。そう思うのが普通です。

これこそ些細ながらも注意ポイントです。当たり前ですが、株は安く買い高く売るのが基本ですよね。
平均買付単価が下がれば、結果的に株式を安く買っていることになるのですが、株価が下がり続けているということは平均よりも株価自体が低いという可能性が非常に高く、売ったら損になるのです。非常にシンプルで、わかりやすいポイントですが、平均単価ばかりに気を向けないようにしましょう。

その後株価が値上がりを続けるのであれば、そのときにはこの値下がりで平均単価が下がったことが有利に働き、売却時の利益が増えるのですが、下がり続ける株式を保有し続けるのはリスクがありますし、精神的ストレスも高くなります。

ですので、ドルコスト平均法は基本的には下がり続ける相場においては不利であることを認識し、そのケースにおいてはどう利用するか、じっくりと検証するべきでしょう。

下落相場で不利な状況をいつか有利にする方法もある!

ドルコスト平均法が不利になるときというのは相場が下がり続けるとき、そしてその相場が底にあるときです。
すでにドルコスト平均法で投資を始めてしまっているときには間違いなく不利な状態です。逆に相場が底にいる時点でドルコスト平均法を始められればかなり有利といえます。

すでにドルコスト平均法を始めている中で底に入ってしまったとき、この状況を有利に変える方法がひとつだけあります。
それは、絶対にその投資をやめないことです。ストレスやプレッシャーは相当なもので、かなり勇気のいることではありますが、そこで投資を諦めて離脱してしまうと、結局は損失しか残りません。

ですが、ぐっとこらえて投資を続けることで、上がり始めたらあとは有利になるしかありません。

ドルコスト平均法の最良の環境というのは、投資家自身に投資を続ける資金に余裕があること。
また、株価には山あり谷ありをちゃんと理解し、年単位で長く運用を続けることです。継続がどんなトレンドをもドルコスト平均法が有利にしてくれます。それだけ長く投資をするのですから、将来有望な株を見つけて、それをドルコスト平均法で長期運用する。これが一番です。

ドルコスト平均法とは安泰の株式を10年投資し続けること!?

ドルコスト平均法は絶対的な投資方法とはいえませんが、長期保有を基本とする投資戦略を持っている投資家にとっては当たり前といってもいい手法になります。
購入株価単価を下げることで、売却タイミングを見計らうのも容易になりますし、市場が底辺にあるときであればいいですが、高値で一括購入してスタートから損失を抱えて資産運用をするリスクから解放される手法がドルコスト平均法になります。

注意点は下げ相場と短期売買には向いていないので気をつける必要があるのですが、万が一、ドルコスト平均法を始めたのに株価が下落を始めても諦めずに投資を続けましょう。トレンドが反転したときにより強い力になって投資家の身に戻ってきます。

そのためには年単位での長期投資を最初から覚悟するべきです。それこそ5年でも10年でも続けるつもりで始めなければなりません。
それであれば自ずと安定している、あるいは将来有望な株式に投資をすることが重要だということがわかってくることでしょう。できれば右肩上がりが期待できる企業の株でドルコスト平均法を利用したいものです。

著者情報
オールマイティなトレーダーを目指して日々奮闘中 投資で5000万円貯める事が目標。 基本ビビりなので日々可愛い利益をコツコツ貯めています。

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