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日本の少子化問題は経済を考える上で度外視できない重要な課題となっています。国立社会保障・人口問題研究所による2017年の推計によれば、日本の人口が1億人を下回るのは2053年なのだとか。
人口の減少は消費を押し下げますから、業績を維持するために企業は海外に進出します。
そういった中、2016年の調査で「現地法人を増やしている国ランキング」で6位となったのがインド。インドは中国に次いで2番目に人口が多い国です。
そのインドで2016年11月より即席麺の販売を始めたのが、今回紹介する東洋水産株式会社という日本の企業です。
目次
東洋水産株式会社という社名とは裏腹に“水産品”より“麺”が強い!?
東洋水産社と言えば、カップ麺や焼きそばが有名ではないでしょうか。
- 赤いきつね
- 緑のたぬき
- マルちゃんの焼きそば
- 麺づくり
- マルちゃん製麺
は聞いたことがあるだけでなく、食べたことのある人も多いと思います。
たくさんのヒット商品があり、美味しくて手軽な食品として親しまれています。
”smile for all”というスローガンはCMでも耳に残りますし、マルちゃんのロゴマークを目にする機会も少なくないはず。
2010年から2014年までは「R-1ぐらんぷり」というテレビ番組のスポンサーをしていたこともあり、ターゲットは若者が多いかと思います。
一方で、焼きそばやカップ麺は、その手軽さに加え、栄養価や品質においても改善されており、現代ではシニア層や子育て世帯でも利用者が増えているのではないでしょうか。
東洋水産社って麺類だけなの?日本以外でも販売しているの?
麺類のイメージが強い東洋水産社ですが、実際の事業は大きく7つに分類されます。
- カップラーメンなどの「国内即席麺」及び、「海外即席麺」
- 焼きそばなどの「低温食品」
- 鮭鱒、いくらなどの「水産食品」
- 魚肉ソーセージなどの「加工食品」
- 「冷蔵事業」
- 「その他」
です。2016年度におけるセグメント別の売上高では、国内即席麺が1位(約33%)で、海外即席麺が2位(約19%)、低温食品が3位(約18%)と続き、この3つのセグメントが売上高の大半を占めています。
カップラーメンなどは特に健康志向に逆行するようなイメージを持たれるかも知れませんが東洋水産社ではそういった面にも前向きに対応しています。
例えば加工食品の中で「あったかごはん」に代表される米飯の売上が伸びていることから、生産ラインを新設するそうです。
米飯は電子レンジで温めるだけのご飯で、東洋水産の商品に限らず利用者はたくさんいると思います。
東洋水産の米飯には、雑穀米や玄米も、雑炊、味付きの釜めしやお赤飯もあり、健康志向も充分に意識されています。また、共働き世帯の増加で家庭内の食卓事情が変化する昨今、安全と健康を保ちながら、簡単にできる食品へのニーズが高まっていることは明らかです。
そういった中で、東洋水産社では自社の加工食品や冷蔵食品に野菜などを加えて作る料理など、ホームページでもたくさんのレシピが紹介されています。
安全と健康を意識しながら、主婦の手間も軽減できる、スローガン通り、みんなが笑顔になれる商品がたくさん揃っているようです。
実は創業60年以上!会社の歴史や規模、海外進出はどうなっているの?
東洋水産株式会社は1953年に創業。
当初、横須賀水産株式会社という名前で、築地市場内で冷凍鮪の輸出及び国内水産物の取り扱いをしていました。1956年に東洋水産株式会社に改称し、翌1957年に本社を東京都港区移転しています。
1962年にはマルちゃんマークが誕生し、ラーメンの製造販売を開始して以降、たくさんの商品を開発していきます。
1975年にはカップきつねうどん、及びてんぷらそば、さらに3食入りの焼きそばを発売、2001年には、電子レンジ調理できる米飯の発売、2011年に生麺に近い乾麺として「マルちゃん正麺」を発売しヒットしました。
このようにして見ると創業以来、長い間衰えることなくコンスタントにヒット商品を生み出していることがわかります。
さて、最初は東京都で始まった東洋水産社ですが、1955年に神奈川県川崎市に冷凍工場を設置します。
その後、静岡県や埼玉県に工場を建てると、関東だけでなく兵庫県、北海道、佐賀県にも冷蔵庫や工場を設置し、日本全国に拡大していきます。
さらにその勢いは、日本国内にとどまらず国境を超えていきます。海外ではまず、1972年、カリフォルニア州にMARUCHAN,INC.を設立し、北アメリカやメキシコへ向けての生産・販売を開始しました。
1987年にはワシントン州にてPAC-MARU,INC.を1989年には、バージニア州にてMARUCHAN VIRGINIA,INC.を設立しています。
2012年にはテキサス州にMARUCHAN TEXAS,INC.を創り、南米にも販路を拡大します。その間に、工場の設置や販売活動も進め、現在の海外事業では即席麺の製造販売が主力となっており、その需要は年々増加しているのだとか。
また、アメリカだけでなく、中国にも会社を置き、水産物や農産物の加工を行い、日本へ輸出しています。
2014年には味の素株式会社と合弁によりインドにて「マルちゃん味の素インド社」を設立し、2016年11月より即席麺事業を開始しました。現時点で、この法人は連結子会社ではありませんが、今後の成長は気になるところです。
このような歴史を通し、東洋水産社は現在までに工場8地点、冷凍冷蔵庫14地点、支店営業が28店、関係会社が海外11社を含む34社まで大きく発展しています。
海外現地法人に関しては、先に挙げた米国4社は連結していますが、中国法人や2014年設立のインド法人は非連結子会社です。非連結子会社に関しては、業績がそのまま財務諸表上に反映されることはありません。
資本金は創業当時350万円ですが、2017年3月時点で189億69百万円。
上場の歴史としては、1970年に東証二部に初上場し、1973年に東証一部に市場変更しています。
東洋水産社の株価や配当
東洋水産株式会社は、2014年10月1日をもって単元株式数を1,000株から100株に変更しています。全国証券取引所において2007年に発表した行動計画により、2018年10月を移行期限として売買単位を100株へ統一しようとしており、その影響で多くの企業が単元株式数を変更しています。
東洋水産社では単元株式数を減らすことに伴い、株主優待制度も変更、「1年以上継続保有」を新条件として、優待制度を適用すると発表しました。100株への変更により、より多くの株主に中長期的に保有されることを目的としているということですが、この条件は2015年4月以降の株主に適用されるそうです。
事業の種類:飲食料品 | 優待の価値:2,000円相当 | ||
---|---|---|---|
優待の種類 | 権利確定月・日 | 優待回数 | |
飲食品 | 3月 | — | 年1回 |
株価 | 配当利回り | 優待利回り | |
4,005円 | 1.5% | 0.5% | |
必要投資額 | 単元株数 | 1株あたりの配当 | |
400,500円 | 100株 | 60円 |
東洋水産社の株主優待は何がもらえるの?条件の変更についても知りたい!
東洋水産社の株主優待は、
「2,000円相当の自社製品詰め合わせセット、または優待相当額を社会貢献活動団体へ寄付」
■1,000株~2,999株以上保有の場合
「3,500円相当」、3,000株以上は「5,000円相当」と保有する株式数に応じて金額部分のみが変更
単元株数の100株から優待は受けられますが、先に触れた通り、保有期間が継続1年以上という条件があります。
因みに、1年以上継続保有の定義は、「年2回(9月・3月)確定する株主名簿に同じ株主番号で3回以上連続して記載されること」となっています。優待の内容は株式保有数に応じて異なります。
なお、それぞれの詰め合わせのセット例は東洋水産社のホームページより確認できます。
そこには、「赤いきつね」や「緑のたぬき」、「ソース焼きそば」「マルちゃん製麺」「あったかごはん」などの写真があり、定番のヒット商品が入っているみたいです。
東洋水産社の業績は?海外情勢も視野に入れた過去の実績と今後の見通しを知りたい!
東洋水産社の業績としてまずは売上高を確認したいと思います。
直近3期の売上高は3,800億円台とほぼ横ばいで、7期で見た場合には、2011年3月期の3,059億円から2016年3月期までは右肩上がりで増収となり、直近の2017年3月期で僅かに減収となりました。
一方、営業利益ベースでは売上ほど順調に増加することはなく、7期で見ると250億円台から300億円未満で推移しています。
ただし、2017年3月期は296億円と好調で、直近の3期では増益が続いています。従って、売上高はゆっくりとした増加傾向にあり、営業利益は多少の波はあるものの一定の黒字をキープしていると言えそうです。
セグメントに分けた場合の売上と営業利益の社内シェアをチェック
以上は連結決算による全体の業績ですが、東洋水産社ではセグメント別に分けた場合に興味深いチェックポイントが現れます。
それは、何といっても海外即席麺事業の利益率がとても良いということ。実は、売上高ベースでは国内即席麺がトップですが、営業利益ベースでは順位が逆転して海外即席麺事業がトップになるのです。
先ほど少し触れましたが、2016年度(2017年3月期)セグメント別の売上では、国内即席麺事業が売上高の33%を占めてトップであり、次いで海外即席麺事業が19%でした。
ですが、営業利益ベースにすると、海外即席麺事業が39%でトップになり、次いで国内即席麺事業が33%となっています。この逆転現象は2016年度に限ったことではありません。2015年度では海外即席麺事業は売上高20%に対し、営業利益は42%を占め、2014年度は売上高23%に対し、営業利益は46%で、いずれも営業利益ベースではセグメントの中でトップです。
つまり、近年においては、海外即席麺事業が東洋水産社の営業利益の約4割を占めており、当セグメントが企業の利益を支えているという現状があるのです。
海外での製造・販売活動を始め海外取引におけるリスクをチェック
日本の人口は減少していますし、それに伴い国内の消費が減少しますから、海外事業が好調であることは企業の将来性を考えてもメリットがることは明らかです。しかし一方で海外事業ならではのリスクというものもあります。代表的なところでは為替レートの変動ではないでしょうか。
海外とのやり取りでは切り離せない問題ですが、為替により利益も変動することは確かです。
洋水産社では北米に連結子会社があり、中でもMARUCHAN,INC.は連結売上高に占める割合が10%を超えています。有価証券報告書では、為替予約等を行うことで影響を最小限にしているが、予測を超えた急激な為替の変動は財政状況に影響すると書かれています。
為替予約とは為替変動に対するリスクヘッジの方法で、将来の為替レートを現時点で決定するというもの。
そういった対策により大きな影響はないのかも知れませんが、多少の利益変動があるのは事実のようです。例えば、2015年から2016年にかけての円安局面では、売上が現地ベースで減収となるも、円換算すると増収になったとあります。(2016年3月期第1四半期の決算短信より)
また、2016年半ば以降の円高局面では円高の影響で売上が減少したとあります。(2017年3月期第2四半期の決算短信より)
ですから、円安で利益が増え、円高で減少するというような一般的な為替変動による影響は確かにありますが、それは海外取引を行う企業ではどこでも平等なリスクとして捉えられます。むしろ、そういった影響を受けつつも年間の営業利益を一定の水準でキープし、純利益ベースでプラスを維持し続けている点を評価しても良いのではないでしょうか。
世界情勢も視野に入れた戦略と今後の見通しをチェック
冒頭で触れましたが、日本の人口は今後も減少するという推計がありますから、企業が海外市場に目を向けるのは当然であり、必須だと言えるでしょう。
東洋水産社は、アメリカ、メキシコだけでなく、インドで事業を開始したことは先に述べましたが、実はインドと同時期にナイジェリアでも法人を設立していました。ナイジェリアの法人も味の素株式会社と合弁で計画が進んでいましたが、ナイジェリアにおいては原油価格の下落による景気後退を受けて、既に会社を清算しています。
また、以前から販売を続けるメキシコでは、直近の2年度において、現地通貨のペソ安により売上が伸び悩んだと書いていますが、2018年3月期の第1四半期の決算短信によれば、2017年7月時点で通貨安が改善傾向にあり、売上が増収しているとあります。
海外事業では日本だけの経済状況だけでなく、各国の景気や経済が影響するため、予測も複雑で安定した売上や利益を守るのは困難だと考えられます。そういった中で、堅調に売上を伸ばし、一定の利益を維持しているのは評価されるべき実績だと言って良いのではないでしょうか。
東洋水産社の決算短信では、2018年3月期の見通しとして、売上高が4,000億円(前年同期比4.5%増)、営業利益は300億円(同1.7%増)を見込んでいるそうです。達成できるのかどうか、期待が高まりますね。
東洋水産社の魅力ってなに?こんな投資家にオススメしたい!
東洋水産社のような食品業界の企業は一般的にディフェンシブ銘柄と呼ばれています。
ディフェンシブとは“防御的な”という意味の英語で、その名の通り、防御的な銘柄を指します。景気変動に左右されにくい安定的な業種で、一般的に性格必需品を扱っている企業が対象となってきます。
具体的には電気ガスなどのライフラインや、食料品、薬、交通機関などであり、これらの業種は景気が悪いからと言って使用しないわけにはいかない為、景気変動のリスクが少ないのが特徴。
従って、株価が急騰したり急落したりという可能性が低く、売買差額を求めるような短期保有には不向きですが、逆に中長期に保有することで配当や優待を得るという目的の投資に向いています。特に東洋水産社は1年以上保有しないと株主優待が得られませんので、いずれにしても中長期の投資向きであることは確かです。
食品業界内における株の割安感は?PERによる判断
業種で見た場合のディフェンシブ銘柄という特徴はわかりましたが、では実際に食品業界内の他社と比べてどういった位置付けになっているのかを見たいと思います。
まずはPERという指標を基に、割安感を確認します。PERとは、一株当たりの利益に対し、株価が何倍まで買われているかで判断します。厳密には税引き後の利益を発行済み株式数(自己株式は除く)で割り、一株当たりの利益を出します。
その金額に対し、現在の株価が何倍なのかを表したのが、PERとなります。PERは低い方が割安という判断ができますが、例えば土地売却などで大きな利益が出た場合には、業績と関係なくPERは下がりますし、絶対的な判断とはなりません。従って、同じ業界内での収益状態や収益予測として使われる相対的な指標の一つです。
東洋水産社のPERは19.69倍です。東証一部の食料品業種79社中32位(低い順)となっており、東証一部の食料品業界内で比較すると、ちょうど真ん中辺りか、やや割安といった判断ができます。
食品業界内における倒産リスクと資金調達の健全性は?自己資本比率による判断
PER上はやや割安という位置付けではありますが、東洋水産社の一番の魅力は自己資本比率の高さではないでしょうか。自己資本比率とは総資産に占める自己資本の割合を示す数値で、高ければ健全という判断ができます。
例えば、金融機関からの借入など負債と呼ばれる手段により資金調達をすると自己資本比率は下がりますが、資本金や利益の積立により資金調達できていれば自己資本比率は上がり、安全な企業となるわけです。
東洋水産社の2017年3月期の自己資本比率は75.11%と大変高く、その前期4期分を見ても72%以上をキープしています。一般的に自己資本比率は40%がボーダーと言われており、業種により多少の違いはあるものの、70%を超えると理想企業とされることが多いです。
自己資本比率を食料品業界内で比較した場合、東洋水産は71社中8位となっています。これは東証一部上場企業に限った場合ですので、他の市場を加えれば更に評価は高くなるはずです。また、東証一部内で比較されることの多い銘柄として、日清食品HD株式会社(63.5%)や江崎グリコ株式会社(59.4%)がありますが、それらと比べても東洋水産社は高い数値を維持していることがわかります。
この自己資本比率の高さは東洋水産社の資金の健全性、倒産リスクの低さを示しており、投資先を選ぶ上での決め手となり得るのではないでしょうか。
そもそも投資に必要な金額は?利回りによる判断
さて、東洋水産社の魅力はわかりましたが、そもそも投資に必要な金額はいくらなのかという予算面も考慮しなければなりません。
東洋水産社の株価は4000円程で、単元株式100株ですから、最低400,000円程度が必要となります。昨今では10万円台で買える企業がありますので、そういった状況を考慮すれば初期投資としては決してハードルが低いとは言えません。ですが、初期投資がいくら低くとも、企業が倒産したり、配当金がもらえなかったり、株価が急落したりしては意味がありません。
その点、東洋水産社は東証一部での食料品業界に限ったランキングで、配当金の利回りは63社中22位と上位に入ります。また、業績においても黒字を維持していますし、積極的な海外進出の点からも将来に希望があると思います。
東洋水産は初心者でも安心できる企業
以上のことから、東洋水産社は、投資金額にやや余裕のある方(400,000円程度)で、配当金と株主優待を受けながら中長期保有を目的としている投資家に向いていると思います。ディフェンシブ銘柄としても経費変動に左右されるリスクが低く、高い自己資本比率からも倒産リスクは低いと判断できますので、初心者の方にも安心ではないかと考えられます。
東洋水産社は南米への販路拡大として、2017年度中にブラジルに現地法人設立を視野に入れているそうです。さらに、先に触れましたが、2016年11月にはインドでの即席麺の販売を開始しました。
他方、ナイジェリアにおける味の素株式会社との共同出資会社を清算したのも2016年のこと。激しく変動する世界経済において、一企業が生き残っていくには、新しい挑戦を続ける勇気と柔軟に方向転換する決断力が大切なのかも知れません。
ブラジルやインドでの躍進を含め、今後の東洋水産社に期待したいですね。