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アメリカと日本のソーシャルレンディングサービスの違いを徹底解説、日本のサービスはP2Pレンディングとは言えない?
目次
日本のソーシャルレンディングサービスはP2Pではない
日本のソーシャルレンディングは、バランスシートレンダーと呼ばれる業態で運営されています。日本では貸金業法の規制により、投資家が直接貸し手になれません。そのため、各ソーシャルレンディングサイトが貸金業の登録(資格)を持ち、運営会社が企業や個人、不動産に直接融資するスタイルを取っています。日本でソーシャルレンディングが説明される際には、「貸し手と借り手をインターネットで結びつけるサービス」と紹介されることが多いですが、実際は間に運営会社をはさんでいます。 P2Pレンディングにおいては融資を行うのはあくまで投資家であり、運営会社ではありません。そういう意味で日本のソーシャルレンディングはP2Pレンディングとは呼べないのです。
日本においては、貸金業法の壁に阻まれ、投資家は前述のとおり貸し手になれません。それどころが、借り手の情報を投資家に提供することも規制されています。情報の直接のやりとりや交流はありません。。
オルタナティブレンディングは大きく分けて2種類
まず表1が世界の「FinTech融資分野」における、営業形態の違いを簡単に表にしたものです。
FinTechにおいてオンライン融資(貸付)は実は最大の注目分野であり、多数のプレイヤーが存在します。そしてこの分野は「バランスシートレンダー」と「マーケットプレイスレンダー」に大別されます。
日本のソーシャルレンディング業者はバランスシートレンダーに属します(赤いマルで囲った部分)。
なお、バランスシートレンダーとマーケットプレイスレンダーの双方を指して、既存の金融機関(銀行など)とは区別して「オルタナティブレンダー」とも呼びます。FinTechの技術を利用して、融資方法、資金調達法、審査の仕方などで従来の金融機関とは異なる様々な形態を採用しています。
バランスシートレンダーとはなにか
バランスシートレンダーとは融資をオンライン融資運営会社自らが行うものです。融資資金が運営会社のバランスシートの借方に「営業貸付金」として記載されるため、この名前があるものと思われます。先の表にあるとおり、日本のソーシャルレンディング(貸付型クラウドファンディング)業者はバランスシートレンダーです。
日本において、融資資金は運営会社が用意するのではなく投資家から出資を受けて賄うことになります。利息収入が得られたら、バランスシートレンダーは一部を利益として受け取り、残りが配当され投資家の利益となります。
※この仕組みについては連載3回目「ソーシャルレンディング」とはなにか」とはなにか」もご参照ください
マーケットプレイスレンダーとはなにか
それに対してマーケットプレイスレンダーは貸し手と借り手(投資家)を結びつけるサービスを提供し、運営会社は融資を行いません。運営会社の仕事とは市場(マーケットプレイス)を用意すること、貸し手を審査して格付けすること、そして格付けされたローン債権を投資家に販売する事がメインとなります。
投資家はローン債権を購入して、利息収入を得ることとなります。つまり貸し手が直接投資家となります。マーケットプレイス(市場)でローン債権が取り扱われるのでこの名前があるものと思われます。運営会社は手数料を貸し手と借り手(投資家)からそれぞれ受け取り、営業利益とします。
日本において海外のソーシャルレンディングが紹介される際にLending ClubやZOPAがよく引き合いにだされますが、この2社はマーケットプレイスレンダーに属します。海外ソーシャルレンディングにおいては、借り手の情報が詳しく投資家に開示されます。
マーケットプレイスレンダーはローン債権の顧客への販売形式によりマーケット型とオークション型に更に分ける事ができます。
国内ソーシャルレンディングは世界基準ではソーシャルレンディングではない
繰り返しのべたとおり、日本のソーシャルレンディングは、バランスシートレンダーです。日本では貸金業法の規制により、投資家が貸し手になれません。貸金業の登録(資格)を持つ運営会社が直接融資するバランスシートレンダーしか営業できないのです。
しかし実は世界で「ソーシャルレンディング」と呼ばれるのは実はマーケットプレイスレンダーの方です。マーケットプレイスレンダーの持つ貸し手と借り手を直接結びつける役割を、この場合は「ソーシャル」といいます。SNS(ソーシャルネットワークサービス)が人と人を結びつける、つまり交流のサービスを提供しているのと同様と考えていただければ、わかりやすいといえます。
本来のソーシャルレンディングにおいては融資を行うのはあくまで投資家です。運営会社ではありません。
日本においては、貸金業法の壁に阻まれ、投資家は前述のとおり貸し手になれません。それどころが、借り手の情報を投資家に提供することも規制されています。情報の直接のやりとりや交流はありません。投資家と借り手のあいだに「ソーシャル」の要素は実は皆無なのです。
日本でソーシャルレンディングが説明される際には、上記のとおり「貸し手と借り手をインターネットで結びつけるサービス」と紹介されることが多いです。
投資家のお金は最終的に借り手に流れるのでこの表現は広義の意味では間違いではありません。しかし投資家は日本では貸し手になれないこと、またお金のつながり以外、本来の意味での「ソーシャル」の要素が投資家と借り手の間に現状ほとんどないこと、このことから日本のソーシャルレンディングは世界基準では「ソーシャルレンディングではない」のです。
国内ソーシャルレンディングの融資先はほぼ100%企業
融資先がほぼ100%企業であり、個人(消費者)がほとんど無いことも日本の特徴です。個人に融資するサービスを提供しているのはAQUSHですが、現状開店休業状態です。それに対して、海外はマーケットプレイスレンダーもバランスシートレンダーも融資先が企業となるところ、個人になるところ、両方を手掛けるところ、様々なサービスが提供されています。
なぜ日本の運営会社はマーケットプレイスレンダーであり、ソーシャルの要素はほぼ皆無なのに、「ソーシャルレンディング」と呼ばれているのか、またなぜ融資先が現状企業だけであり、世界に比べて多様性に乏しいのか。
それは次回以降、世界と日本のソーシャルレンディングの歴史を述べる際に述べたいと思います。