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ソーシャルレンディングの税金・確定申告

ソーシャルレンディングの税金・確定申告を一番やさしく解説

ソーシャルレンディングをはじめるに当たって、税金や確定申告の問題が気になっている方は多いのではないでしょうか。

ソーシャルレンディングにおける税金や確定申告には、いくつか抑えておかなければならないポイントがあります。

注意してほしい点や知っておくべき知識をシンプルに分かりやすく簡単に解説します。

計算実例も3パターン用意しておきましたので、ご自分でも計算できるようになるはずです。税金で損をしないようにしましょう。

はじめに

ソーシャルレンディングの税金や確定申告における要点は以下の通りです。

★リターンが年間20万円以下であれば確定申告は不要
★事前に計算しておけば、税率が上がって税金で損をすることはない
★ソーシャルレンディングでも源泉は行われているので、個別で納税しなくて良いケースもある

ソーシャルレンディングの分配金にかかる税金について

ソーシャルレンディングの分配金について簡単にご説明すると、税務上「雑所得」と呼ばれる所得に分類されます。そして雑所得というのは総合課税方式で課税が行われます。

総合課税とは、給与所得などと総合して課税を行うという意味です。つまり、ソーシャルレンディングで得た分配金は給与所得などと合計され、その上で所得税率が決定するのです。後ほど計算方法についても解説しますが、場合によってはソーシャルレンディングで得たリターンがあなたの所得税率を押し上げ、納税額が増えるケースがあります。多くの方はもちろん知っているとは思いますが、念のため所得税率についても解説しておくと、国内では累進課税という制度が導入されており稼げば稼ぐほど税率が上がる仕組みになっています。

ソーシャルレンディングは確定申告が必要

また総合課税なので、ソーシャルレンディングで得られるリターンには確定申告が必要です。多くの金融商品では分離課税方式が採用されており、基本的に確定申告は不要なのですが、残念ながらソーシャルレンディングでは申告が必要になります。

分配金は年間20万円以下であれば確定申告が不要

一方で、確定申告が不要になるケースもあります。それは、ソーシャルレンディングの分配金が年間20万円以下のケースです。雑所得の合計が20万円を超えなければ、確定申告は不要という制度があり、大きな額をソーシャルレンディングで運用する予定のない方は面倒な確定申告を避けることができます。

例えば、ソーシャルレンディングで利回り5%の商品に投資を行う場合、分配金が20万円を超えてくるのは400万円以上の金額を投資している場合になります。つまりこのケースでは運用総額が400万円以下であれば確定申告は不要だということになります。

ただし、年金やFXでの収入などソーシャルレンディング以外の手法で雑所得を得ている場合、ソーシャルレンディングのリターンと合計で年間20万円を超えてしまうと確定申告が必要になりますので、注意が必要です。

ソーシャルレンディングの分配金は20%源泉されている

総合課税の仕組みが分かったところでもう一度税金の話に戻りますが、実はソーシャルレンディングでのリターンは、各ソーシャルレンディングの運営会社によって分配時に20%の源泉が行われています。つまり、投資家が納めるべき税金をあらかじめ徴収して、代理で支払ってくれているのです。

しかし、先ほど申し上げたようにソーシャルレンディングで分配されるリターンにかかる税率は、累進課税で納税しなければなりませんので人によって数値が異なります。ある人にとっては20%では払いすぎということになりますし、また別の人にとっては20%では本来支払うべき税金を支払っていないことになります。こういった場合の納税額の取り扱いについて、さらに詳しく見ていきましょう。

ソーシャルレンディングの税金は、源泉されている20%よりも税率が低ければ差額の還付が受けられる

まず、分配金にかかる税率の計算を行い、その数字がすでにソーシャルレンディング運営会社によって源泉されてしまった20%よりも低かった場合ですが、確定申告を行うことで差額の還付が受けられます。払いすぎているのだから返してもらうのは当然ですよね。

逆に税率が源泉されている20%を超えると追加で納付が必要

一方で、計算したソーシャルレンディングの分配金にかかる税率が20%を超えていた場合はどのような扱いになるのでしょうか。この場合、源泉された20%だけでは本来納税するべき金額に達していないことになりますので、確定申告を行いこの差額に関して、追加で納付を行う必要があります。

ソーシャルレンディングの税率は課税所得によって決められる所得税率+住民税率

では、ソーシャルレンディングの分配金にかかる税率はどのように計算すれば良いのでしょうか。結論から申し上げますと、「課税所得」が分かれば税率を求めることが可能です。課税所得とは、いわゆる所得の合計金額ではなく、課税の対象となる所得のことを指します。

ソーシャルレンディングの分配金にかかる税率は、所得税率と住民税率の合計によって求められるのですが、どちらも税額を計算するためにはあなたの課税所得がいくらなのかという情報が必要です。課税所得の大きさに応じて累進課税方式で決められた税率がありますので、表を参考にしてください。住民税はお住まいの自治体などによっても変動しますので、ここには掲載しませんがざっくり課税所得の10%程度だと考えておいてください。

課税される所得金額 税率
195万円以下 5%
195万円を超え 330万円以下 10%
330万円を超え 695万円以下 20%
695万円を超え 900万円以下 23%
900万円を超え 1,800万円以下 33%
1,800万円を超え 4,000万円以下 40%
4,000万円超 45%

課税所得は給与年収+ソーシャルレンディングの分配金-各種控除で計算できる

では、問題の課税所得はどのように求めたら良いのでしょうか。ズバリ、「課税所得=総所得-各種控除」で計算できます。もう少し具体的に見ていきましょう。多くの方は利子所得や配当所得等、総合課税される類の所得はソーシャルレンディングの他では得ていないと思いますので、今回は給与とソーシャルレンディングの分配金のみが総所得という前提でお話します。また、各種控除についても本来は寄付金控除や勤労学生控除なども含まれていますが、こちらも多くの方には当てはまりませんし、金額も小さい場合が多いので、基礎控除、給与所得控除、社会保険料控除、配偶者控除のみを扱います。

その前提で課税所得を構成する要素を因数分解すると「課税所得=(給与所得+ソーシャルレンディングの分配金)-(基礎控除+給与所得控除+社会保険料控除+配偶者控除)」と言い換えることができます。つまり、総所得=給与所得+ソーシャルレンディングの分配金、各種控除=基礎控除+給与所得控除+社会保険料控除+配偶者控除だということです。

先述の通り、課税所得は小さいほどソーシャルレンディングの分配金にかかる税率は下がりますので、控除額が大きければ大きいほど有利です。基礎控除は、すべての納税者から一律で38万円が控除されるという制度です。また、給与所得控除は給与によって控除額が変動しますので注意が必要です。以下を参考にしてください。

“給与年収180万円以下の場合、控除額は給与年収×40%となります。ただし、65万円未満のときは65万円です。
180万円超~360万円以下の場合、控除額は給与年収×30%+18万円となります。
360万円超~660万円以下の場合、控除額は給与年収×20%+54万円となります。
660万円超~1,000万円以下の場合、控除額は給与年収×10%+120万円となります。
1,000万円超~の場合、控除額は給与年収×5%+170万円となります。”
給与所得控除が認められる条件と計算方法
https://biz.moneyforward.com/payroll/basic/employment-income-deduction/

また、社会保険料控除は健康保険料や厚生年金保険料などのうち実際に支払った金額がすべて控除されます。一般的な社会人の場合ざっくり給与所得の14%前後と言われています。配偶者控除は、所得金額が38万円以下の夫や妻を持つ方であれば、38万円分の控除が受けられる制度です。

実例を用いて計算してみよう

では、上記の計算式を利用していくつかのケースについて実際に計算を行ってみましょう。
どのケースでも運用資産はすべて利回り5%の商品に投資していると仮定します。

給与400万円、150万円を運用する独身Aさんのケース

ソーシャルレンディングでの年間分配金 150万円×5%=7.5万円
給与所得+ソーシャルレンディングの分配金=総所得 400万円+7.5万円=407.5万円
基礎控除+給与所得控除+社会保険料控除+配偶者控除=各種控除 38万円+134万円+56万円+0円=228万円
総所得-各種控除=課税所得 407.5万円-228万円=179.5万円

課税所得が195万円以下の場合、所得税率は5%になります。195万円を超えると所得税率は10%となってしまいますので、運用額はこの程度にしておいた方がよさそうですね。
この所得税率5%に住民税率約10%を合計した15%が、ソーシャルレンディングの分配金にかかる税率となります。
雑所得が20万円以下ですので、確定申告は不要です。しかし、ソーシャルレンディング運営会社によって20%の源泉が行われていますので、差し引き5%余分に税金を納めていることになります。5%分の還付を受けたい方は確定申告を行ってください。

Aさんのソーシャルレンディングの分配金に対する納税額は、約3,750円になります。

給与600万円、350万円を運用する既婚Bさんのケース

ソーシャルレンディングでの年間分配金 350万円×5%=17.5万円
給与所得+ソーシャルレンディングの分配金=総所得 600万円+17.5万円=617.5万円
基礎控除+給与所得控除+社会保険料控除+配偶者控除=各種控除 38万円+174万円+84万円+38万円=334万円
総所得-各種控除=課税所得 617.5万円-334万円=283.5万円

課税所得が195万円より大きく、330万円以下の場合、所得税率は10%になります。このケースでも、330万円を超えると所得税率はなんと20%になってしまいますので、運用額には注意が必要ですが、330万円-283.5万円=46.5万円ですので、まだまだ余裕があります。930万円の5%が46.5万円ですので、追加で1,000万円近くソーシャルレンディングに投資を行っても、理論上は税率が上がらないことになります。

また、この所得税率10%に住民税率約10%を合計したものがソーシャルレンディングの分配金にかかる税率になりますが、おおよそ20%ですので運営会社によって源泉された金額と本来支払うべき税額はほとんど同額になるはずです。また、雑所得が20万円以下の場合確定申告は不要ですので、このケースのように年間の分配金が17.5万円であればやはり確定申告は不要です。

Bさんのソーシャルレンディングの分配金に対する納税額はすでに源泉が行われていますが、約3.5万円になります。

給与1,500万円、1,000万円を運用する既婚Cさんのケース

ソーシャルレンディングでの年間分配金 1,000万円×5%=50万円
給与所得+ソーシャルレンディングの分配金=総所得 1,500万円+50万円=1,550万円
基礎控除+給与所得控除+社会保険料控除+配偶者控除=各種控除 38万円+245万円+210万円+38万円=531万円
総所得-各種控除=課税所得 1,550万円-531万円=1,019万円

このケースでは、課税所得が1,000万円を超えていますが、課税所得が900万円より大きく1,800万円以下の場合、所得税率は33%となります。これに住民税率約10%を加えると、43%がソーシャルレンディングの分配金にかかる税率となります。源泉は20%しか行われていませんので、確定申告を行いリターンの23%を追加で納付する必要があります。非常に税率が高く感じますが、Cさんの場合はベースの給与が非常に高いためこのような数字が算出されています。

Cさんのソーシャルレンディングの分配金に対する納税額は源泉分も併せて、約21.5万円になります。

ソーシャルレンディングの税金・確定申告まとめ

ソーシャルレンディングでの運用においては、そもそも得られるリターンの利回りが非常に高いので、税金を意識しすぎることなく投資を行っても問題ないと思います。特に年収が数百万円後半の方は、1,000万円近くの資金をソーシャルレンディングで運用しても税率が変わらないケースが多いです。

一方で、ソーシャルレンディングの分配金によって所得税率が変動してしまうというような事態は避けたいですので、課税所得の計算だけは定期的に行うようにしてください。

いかがでしたでしょうか。きちんと把握した上でソーシャルレンディングをはじめれば、税金周りで損失を出すことはないということがお分かりいただけたと思います。実際にトライしてみようかな、という方はこちらにソーシャルレンディングを様々な視点から比較してランキングにした記事がありますので、参考にしてください。

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著者情報
投資歴10年。日本株・米国株投資、FX、仮想通貨、不動産、インデックスファンド、なんでも手広く投資中。普段はコツコツ、鉄火場や期待値の高い相場の時だけ大きく張るの…

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