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- 韓国ICO全面禁止が世界の仮想通貨マーケットに与えるインパクトとは?
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仮想通貨は、2017年が仮想通貨元年とも言えるほど、世界中の投資家のみならず、一般の人にまでも浸透し始めた投資商品となりました。
特に代表となるビットコインは今年だけで400%もの値上がりをしたともされ、ほんのわずかな資金を元に莫大な利益を上げた人も続出しています。
仮想通貨はビットコインに代表されますが、世界各国でたくさんの種類が開発、発行されています。
これら仮想通貨は投資家たちに対して好ましいメリットを数多く備えていることから人気の投資案件になっているわけですが、逆に各国政府は仮想通貨が自国通貨の存続を脅かす存在として懸念もしており、中国は売買の禁止に介入したりなど、いろいろと揺れ動いています。
そんな中、韓国でも仮想通貨への開発に資金提供をするICOが禁止されることが発表されています。
これはいったいどういうことなのでしょうか。世界的にも注目されるこの韓国の対応を紐解くことで、今、投資家が仮想通貨への投資で直面する懸念が見えてきます。
目次
韓国政府はICOによる詐欺のリスクを懸念するという理由で禁止を発表
仮想通貨を開発するには莫大な資金が必要になります。
その際に利用されるのがICOです。新規仮想通貨公開のことで、Initial Coin Offeringの頭文字をとってそう呼ばれます。一種のクラウドファンディングで、世界中で仮想通貨開発者たちがICOで資金を集め、実際に開発中の仮想通貨も多いですし、中にはリリースされている銘柄も誕生しています。
仮想通貨は銘柄そのものを売買して利益を得たり、ビジネスに利用して仮想通貨を稼いだりする投資方法のほか、ICOで投資して利益を得る方法があります。ICOで投資すると、投資者にその銘柄がある程度の口数を配布されるので、安くその銘柄を入手して、値上がりすれば売却益を得ることができるようになるのです。
ところが、ICOには大きな落とし穴があり、世界各国でICOの規制問題が発生しています。
そんな中で韓国政府は規制ではなく禁止をすることを発表したことで、世界中の投資家から動向が注目されているのです。いったいなにが起こっているのか。詳しく見ていくことにしましょう。
2017年9月、韓国の金融委員会がICOには詐欺のリスクがあるとして禁止を発表
事の発端は2017年9月29日の韓国政府の発表で、翌30日の日経新聞の朝刊にはこういった記事が掲載されたようです。
韓国政府の金融委員会は29日、仮想通貨発行による資金調達「新規仮想通貨公開(ICO=イニシャル・コイン・オファリング)」を全面的に禁止する方針を示しました。
[blogcard url=”https://www.nikkei.com/article/DGKKZO21735800Z20C17A9EA4000/”]
韓国の金融規制当局によればICOは詐欺のリスクがあるとして、あらゆる形のICOを禁止するとしました。韓国金融委員会(FSC)ではICOと仮想通貨への投資が投機目的に利用されていると判断したようです。
こういった禁止や規制は韓国に限らず、アメリカやシンガポールでも実施されていますし、2017年9月には仮想通貨大国の中国もICO禁止を発表しています。
ICOは詐欺のリスクが非常に高いとされています。なぜなら、仮想通貨の開発を謳って資金を集めながらも、一切開発を行わないこともあります。実際にICOで資金集めをしたものの、開発に失敗した例もあるため、開発には実際にはまったく着手せず、表向きは開発失敗とし、資金だけを騙しとることもあるのです。
そういった、ギャンブル性の高い投機的なものにICOがなりつつあることを韓国政府は懸念したわけです。
韓国の金融委員会はICO完全禁止だけでなくデジタル通貨信用取引も禁止
韓国FSCはICOの完全禁止だけでなく、デジタル通貨――つまり仮想通貨の信用取引も禁止すると同時に発表しています。FX取引のようにレバレッジをかけて大きく売買するような取引は禁止というわけです。
仮想通貨はご存知のように国境のない通貨です。
送金なども自由にでき、その手数料もこれまでの銀行を介した海外送金と比べてかなり割安になります。そのため、各国における資産が海外に簡単に流出してしまいます。
同時に、こういった時勢ですので、韓国としては仮想通貨を利用して自国の韓国ウォンがテロリストなどの活動資金になることも恐れているようです。隣国が北朝鮮ですので、特に韓国はシビアにならざるを得ないということもあるのかと思います。
まだまだ始まったばかりの仮想通貨ですので、世界中で政府や人々が概念や利用方法などを受け入れるには時間がかかりそうです。
韓国でのデジタル通貨(仮想通貨)の普及率はどれくらいなのか?
韓国における仮想通貨の利用者は100万人とされています。韓国の人口は5000万人規模ですので、100万人は一見少なく感じますが、普及率としてはかなり多くの人が利用していると考えていいようです。
また、一般的にICOでは仮想通貨の主流であるビットコインではなく、その他の仮想通貨の中でトップの流通量があるイーサリアムが利用されるケースが多いです。韓国はそのイーサリアムの取引が多い国ですので、特にICOが盛んになる土壌があったと言ってもいいかと思います。
ICO規制をした国によっては政府主導の仮想通貨を開発するためにほかの仮想通貨の勢いを押さえるという思惑もあるようですが、韓国政府側は今回のICO全面禁止は今後一切仮想通貨の取引をさせないというものではなく、ハイスピードで移り変わる仮想通貨業界を監査・監督するための基盤作りの時間稼ぎとしています。
ICO詐欺のリスクは韓国だけでなく世界中で起こりうること
韓国政府が発表しているICO全面禁止ですが、2017年10月下旬の当記事執筆時点では韓国の投資家は少なくとも韓国国外のICOに投資することはできているようです。
つまり、韓国政府もこれからICOの禁止に対して具体的にガイドラインなどを作っていくものと見られます。そのため、発表時は「あらゆる形のICO」と具体的なことを挙げていなかったのではないでしょうか。
では、韓国政府が実際に規制に動き始めたのはなぜなのでしょうか。
瞬間的にこの発表ののちにビットコインやイーサリアムの価格に影響があったようですが、その後は特に問題なく取引されています。この禁止の措置は世界中の仮想通貨マーケットに影響を与えるものなのでしょうか。
ICOで起こりうる詐欺リスクにはどんなものがあるのか知っておこう
ICOの全面禁止は詐欺のリスクが高いからだとされています。
ICOはどの国においても法的な規制や基準がないので、極端な話、メールが使える程度のスキルしかない人でも開発すると宣言して資金集めができてしまいます。それを罰することもできないし、あらかじめ投資家が見抜くことができないのはデメリットです。
ICOはよく株式のIPO(新規上場株式)に例えられますが、IPOは法的な基準などが用意されていますし、違反をしたときの罰則もあります。
ですが、ICOはそういったものがないので、仮に投資家が詐欺に遭ってしまったとしても、法的な対処は不可能です。
ICOでよくある詐欺は、開発すると言いながらもまったく着手せずに、集めた資金だけを持って消えてしまうことです。
しかし、これも開発していると最後まで言い張られてしまえば、投資家側も警察なども対応することは今のところできません。仮想通貨開発は高度なものですので、実際に開発失敗事例もあり、ICOで資金を集めた詐欺師が開発に努力していると言い続ける限りは投資家もその進行状況を知る術がありません。
そうでなくても、すでにICOがギャンブル性の強い投機になっているので、特に熱くなってしまった投資家にはそれが詐欺なのかちゃんとした開発元なのかがわからないままにICOで資産を減らしてしまう結果になります。
仮想通貨はオンライン上に存在する資産で、インターネットの世界のように変化の速度が速いわけです。ですので、ICOは場合によっては投資家にとってリスクしかないのです。
韓国ではなぜ制度化や強化、規制ではなく「禁止」になったのか
韓国がICOを規制ではなく全面禁止にしたのかは、おそらく韓国国民の仮想通貨への投資が大きな詐欺事件へ発展してしまうことを懸念したことと、北朝鮮に資金が流出してしまうことを恐れたからなのではないでしょうか。
実際に2017年5月には北朝鮮によって韓国の仮想通貨取引所がハッキングされる被害が出ています。
別件ですが、やはり仮想通貨取引所がハッカーに襲われ、この際に3万人分以上の個人情報が漏洩したともされています。韓国政府はこれらの事件を重く見て、ICOだけでなく、仮想通貨の信用取引も禁止したのだとされています。
表向きには今後韓国の金融マーケットでの仮想通貨に対する監査や監督を強化するための準備ということになっているのですが、様々な事情も重なったことでこういった決断に至ったのかと思われます。
対照的に規制緩和した日本と韓国のICO全面禁止で世界の仮想通貨はどう動く?
ICO全面禁止で規制強化に動く韓国とは対照的に、日本は規制緩和で仮想通貨売買時の消費税を撤廃したことで次のようなメリットが生まれています。
政府が仮想通貨を決済方法として認めたことで仮想通貨の信用性が向上します。
〇二重課税の問題が解決する
仮想通貨購入時、商品購入時と消費税が二重課税されていたのが、仮想通貨売買が非課税化され消費税負担が軽減します。
〇仮想通貨市場の活発化に繋がる
消費税撤廃で事務負担が軽減するため、取扱所などのサービスの向上に繋がり仮想通貨の普及に追い風となります。
世界的に規制強化に向かう国と規制緩和に向かう国に分かれ始めた仮想通貨マーケットの今後の動きを予想します。
韓国の禁止を持ってしてもいまだ世界中の投資家からICOは望まれる
仮想通貨のマーケットとして世界最大とされる中国が仮想通貨取引所の前面閉鎖、ICO全面禁止を発表したのに続き、ICO全面禁止で規制強化の動きをみせる韓国の報道を受け、仮想通貨の将来に疑問を抱く日本人投資家も少なくないと思います。
しかし現在でもICOに対する世界中の投資家から見た一般的な印象は好意的であると言えるでしょう。
現在でもICOでの資金調達を行う企業は加速度的に増加していると言っても過言ではありません。
ビットコインの値上がりを見れば、誰もが第2第3のビットコインが誕生することを望んでいます。
ビットコインは誕生当初は日本円で1円にも満たなかったもので、2017年には50万円程度にまで高騰したわけです。しかし、一般層にまで仮想通貨への投資が浸透し始めた今、なかなかそういったうまみのある場面に出くわすことがありません。
あるとすれば、開発前、あるいはリリース直後の仮想通貨銘柄を最安値で入手すること。そして、その方法はもはやICOしかないわけです。ですので、世界的に多くの投資家が詐欺の事例を知りながらも好意的にICOに投資を行いたがるのです。
今後日本の仮想通貨マーケットでもICO詐欺の被害は広がるという懸念がある?
こうして仮想通貨では銘柄の売買そのものだけでなく、ICOにおいても巨額の資金が動いていきます。
これの動きに対して中国や韓国といった集約型権力構造の政府が、政府のコントロール圏外で巨額の資金が動くことに苛立ちを感じ、その結果が今回のICOの全面禁止や取引所の前面閉鎖という動きに繋がったと考えられます。
確かにICOには詐欺的な要素やリスクがまったくないのかと問われれば、可能性が残されている状態であると答えざるを得ない状況です。
しかし投資や投機に対してこの疑念やリスクは常につきものだとも言えるので、ICOだけを取り上げて批判する行為はやはり偏っているのではないでしょうか。
そう考えると、韓国や中国の政府上層部は規制に乗り出す口実として詐欺的リスクを謳ったに過ぎないのでは? という疑念が逆に生じてきます。
一方で日本国内では仮想通貨売買に対する消費税の撤廃措置によって、政府が仮想通貨を決済方法のひとつに認めたことになりました。
日本人の比較的おとなしい国民性が影響するのか、仮想通貨に対する投資が中国や韓国の個人投資家のように思い切ったものではないことも日本政府が規制をしない理由なのかもしれません。
ただ、ICOが原因となった、社会問題になるような巨額詐欺事件が発生していないことも影響してか、日本では逆にICOに対する認知度も高いとは言えないのが現状です。
日本では法整備が整ったことで安心してしまい、仮想通貨の認知度や使用に対する抵抗感が薄まり、今後日本でもICO詐欺が発生しうると考えられます。
本格的に仮想通貨が一般的に普及しようとしている今こそ、韓国や中国政府の全面禁止の事情などを理解し、ICOへの認識を得るときだと言えるでしょう。
今後日本でも仮想通貨への投資が増加し、ICO規制にも影響?
現在日本で仮想通貨を利用しているのは人口比率的には非常に少ないといえるでしょう。
先にも紹介したように、韓国では100万人規模です。人口が5000万人水準とすればかなりの割合で、それに比べると日本はまだまだ少なく感じます。
このことからいまだに多くの日本人の間では「仮想通貨は怪しげだ」という認識が根強いと考えられます。
一般層の中ではどれほど理解されているのかが微妙なところですが、ビットコインは2017年8月に一度分裂をしています(執筆時点で同年11月にもう一度分裂する可能性が出ています)。
その原因となったハード・フォークは中国の大手マイニング業者が発端です。膨大なデータを処理するマイニング業者のシステム使用に関する対立が分裂を促進させたのですが、中国にはビットコインのマイニング業者がたくさんあります。
中国は政治的な事情もあって、資産をすぐに国外に持ち出せるという点で仮想通貨が普及したと見られます。
ですので、世界的に見て中国は仮想通貨産業の一大拠点となっているのです。ですから、これ以上の仮想通貨に対する規制強化は中国政府にとって諸刃の剣になりうるリスクを抱えていて、おそらくICOや取引所の禁止以上の規制はないとは感じます。
ですが、今後市場規模が拡大する日本では、法整備にあぐらをかいて、安心して投資してしまうことでICOや売買で詐欺が横行する可能性もあります。
すでにビットコインを巡った殺人事件も起きているほどです。例えばFX取引でも過剰なレバレッジで巨額の負債を抱える人がいることを懸念して規制されてしまったように、日本の仮想通貨マーケットでもICO規制や禁止が起こる可能性も出てきます。
仮想通貨の発展が見込まれる現在はICO規制強化は少数派?
いずれにせよ、仮想通貨に関する環境は日本国内だけでなく、世界で起こっているこのような状況を知ることが大切です。
まだ登場したばかりのもので、世界中が仮想通貨そのものを模索しているような状況です。いい話もあれば悪い話も聞かれます。
しかし、日本政府が行った仮想通貨売買に対する消費税撤廃がさらに周知されれば、日本国内の仮想通貨マーケットにはさらなる伸びシロが残されているといえるでしょう。
実際、紛失時の心配から利用が伸び悩んだ「お財布ケータイ」や、店舗を持たないネット銀行が十分に日本のマーケットで普及したことを見ても、これから仮想通貨が日本の一般層にも受け入れられるのは時間の問題だと感じます。
現在驚くべきスピードで経済成長している東南アジア諸国でも仮想通貨の普及は著しく、発展途上国と言われていた国々からの資金の流入は年々増加していると言われています。
このように規制する国があったとしても、世界的に見れば仮想通貨は十分な伸びシロが見込まれる金融商品です。今後も国際的な金融商品としての価値は上がり続けると考えられます。
中国、韓国に続いて仮想通貨に対する規制強化を行うのは集約型権力構造の政府を持つ国が予想されますが、現状では規制強化を行うことでのメリットよりも国内からの反発や国際社会からの批判というデメリットが大きいと考えられますので、規制強化に大きく舵を切る国は少ないと言えるでしょう。
リスクヘッジをしっかりすればICOも利用価値はまだある
仮想通貨を取り巻く環境は不確定な要素が多いです。
ですので、今回のように韓国でICO全面禁止が突然発表されたり、様々な問題点が浮上します。しかし、マーケットというのはいつでも政府ではなく、投資家の思惑で動くものです。株価もFXも、多少の政府の介入や影響はあるにしても、いつも投資家が求める方向に流れていくものです。
規制や禁止が各国で相次いでいますが、それでもICOは今でも世界中で行われています。
多くの投資家がICOのリスクを知っている上で投資しているのです。それは詐欺のデメリットよりも、成功したときのメリットを求めているからです。
投資に必ずはありません。もちろん投資はギャンブルでもありません。
ですが、「絶対」がない以上、ある程度リスクを負わなければ投資はできません。そう考えれば、身の丈に合った額でICOに参加すれば、それは自分自身でリスクコントロールをしながら投資できることになるのではないでしょうか。
当然、韓国の全面禁止のニュースなどを無視してはいけません。世界情勢を常に把握しておくのが投資家の情報収集の基本です。
仮想通貨が未来永劫、投資家の求めるように存続するかも実際にはわかりません。ですが、規制されても禁止されても、欲求がある限りそれは続きます。
仮想通貨の取引やICOへの投資は、株式やFX取引同様にしっかりと情報収集と分析を行いながら実施すれば、リスクを軽減でき、大きな問題を抱えることはないでしょう。