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従来型の仮想通貨取引所の売買、ICO発表を中国が全面禁止 その影響は?

2018年1月5日

仮想通貨と中国の関係を、本当の意味で理解できているでしょうか?
2017年現在、仮想通貨業界での中国の勢いは落ち着きを取り戻しつつあります。

しかし過去を振り返ってみると、2016年、世界のビットコイン取引の90%以上が、中国ただ一国によるものでした。

取引が沈静化したとはいえ現在も、全世界の仮想通貨やビットコインの多くを中国人が保有していることは間違いないでしょう。
そのため、今後の仮想通貨の値動きを予測するには、2018年以降の中国の動向に注目することが必須です。

そもそもなぜ中国人に仮想通貨が人気なのかという問題から、中国と仮想通貨の関係について、詳しく分析していきましょう。

2016~17年、中国はメインプレイヤーだった。2018年以降は?

ビットコインなどの仮想通貨は、特定の国が管理するものではなく、独立した通貨として存在しています。
同然、仮想通貨は中国人だけのものではありません。

しかし、2016年には全世界のビットコイン取引の90%以上を中国が占めるなど、計り知れない存在感を業界に与えてきました。
そのため、中国の動向を知ることが仮想通貨の値動きを読む上で効果的となります。

なぜ中国(と中国人)は、これほどまでに仮想通貨に積極的なのでしょうか?
その謎をひもといていきましょう。

なぜ中国では仮想通貨の爆買いが起こるのか?カギは人民元不信

中国人による仮想通貨・ビットコイン買いは、まさに爆買いと呼べるものでした。
なぜ中国はこれほどまでにビットコインを入手したがっているのでしょうか?
その理由は、日本人やアメリカ人とまったく異なるものとなります。

中国人の仮想通貨の爆買いと大きく関連しているのが以下の通りになります。

・人民元に対する不信感
・人民元のレート下落

人民元は中国の中央銀行である中国人民銀行が発行する法定通貨です。
日本にたとえると、日本銀行が発行する日本円に当たります。

国がお墨付きを与えている、国が管理している通貨です。

人民元は日本円と同じように、為替レートにより価値が上下する性質を持っています。
中国がビットコインや仮想通貨を爆買いする理由は、まさにここにあります。
2016年の1年間、人民元はなんと7%も下落(人民元/ドル)

これだけ大きな下落を記録したのは、中国にとって20年ぶりとなります。

・中国経済の減速
・中国国内の富裕層による政府への不信感  など

上記の内容が原因で人民元の価値が大幅に下落した1年間でした。

このことは、中国国内の富裕層にとって大変困った出来事なのです。
なぜなら、日本人が日本円で貯金をしているように、中国人は人民元で貯金をしているからです。

人民元/米ドルのレートで7%も下落した人民元は、世界標準の通貨といわれる米ドルに換算すると、1年間で貯金の7%がすっかり消えてなくなったことになります。
貯金するだけで資産の7%も消えてしまうのですから、中国の人々はいてもたってもいられません。

そこで、値上がり傾向にあるビットコインや仮想通貨を購入して資産を守ろう、というのが基本的な中国の人々の狙いとなります。
もしくは、ビットコインや仮想通貨を通じて、ドルなどの外貨へ両替しよう、という狙いもあったでしょう。

人民元の価値下落や、中国政府に対する不信が、中国人の仮想通貨やビットコイン人気を急上昇させました。
中国にとって2016年とは、そんな1年間だったのです。

値上がり目的の買いなど、人民元へ不信感以外の買い理由もある

上記で解説した、人民元不信による仮想通貨やビットコインの爆買いは、ほとんど中国特有の現象です。

一部の国では中国以外にも、政府に対する不信感や法定通貨に対する不信感により、法定通貨を売却し、ビットコインなどの仮想通貨を購入する動きがあります。
しかし、たとえば日本人が日本円が紙切れになるかもしれない!至急、ビットコインに両替しなければと考えることや、アメリカ人がドルに対して同じように考えることはないでしょう。

アメリカ人や日本人など、自国の通貨が安定している国の人々が仮想通貨やビットコインを購入するのは、間違いなく投資目的です。
今のうちに仕込んでおき、高値で売却することが購入する理由なのです。

そして中国人にとっても同じように、仮想通貨やビットコインは投資目的の商品でもあります。

 人民元不信による仮想通貨の購入
 投資(資産運用)を目的とする仮想通貨の購入

このように、中国の人々にとって仮想通貨やビットコインは、人民元資産の目減りだけではなく、日本人やアメリカ人などと同様に投資目的での購入も多くあります。

2014~15年頃、投資目的でビットコイン購入を検討していたが、今ひとつ決断できなかった人々。

この踏みとどまっていた人々も、2015年後半~2016年の人民元大幅下落により、かなりの割合がビットコインへの投資に踏み切ったのではないかと思います。

一方、人民元不信を理由にビットコインを購入した中国人が、ビットコインの大きな値上がりを受けて「これは儲かる!」と気がつき、投資目的としてさらに追加の資金を投入。

こんなパターンも計り知れないほど存在したことでしょう。

中国は人口も多く、世界第2位の経済大国です。
人民元不信による仮想通貨やビットコインの購入がなくなったとしても、純粋な投資目的による購入による動向は見逃せません。

やはり、中国人を抜きにして仮想通貨やビットコインの将来性を語ることはできないのです。

2016年、ビットコイン取引の90%以上を中国が占めた

中国は、ただ一国でビットコインの大半を占めるほど大きなマーケットを持ち、ビットコイン価格高騰の要因になっていることを解説してきました。
中国人のビットコイン人気の高まりは主に、人民元への不信感と投資目的の2つであることも紹介しました。

とはいえ、中国人に仮想通貨やビットコインが人気なのは、人民元の目減り対策や、資産運用目的だけではありません。

2016年、ビットコイン取引の90%以上を中国が占めるようになった過程には、アンダーグランド(違法・非合法行為)への使用や、社会通念上好ましくない用途へ利用するための需要もあったと考えられます。

2017年現在中国は、仮想通貨取引所での取引と、ICO(新規に発行される仮想通貨)の発表の2点を規制し、「非合法」としました。

このことは仮想通貨マーケットにも大きな影響を与えます。
中国がこのような規制に踏み切った理由として、以下の要因が考えられます。

・マネーロンダリング(資金洗浄)への仮想通貨の利用を防止するため
・市場操作のより国民が不利益を被る危険性があるため
・本来、仮想通貨取引所のような金融機関を設立するには法的ライセンスが必要
・仮想通貨業界には法的ライセンスが存在しないため、中国当局が把握できない

裏を返すと、このような用途(マネーロンダリング・市場操作による利益・中国当局に把握されたくないという目的)での需要が大きかったことから、中国国内での需要も著しく増加し
世界のビットコイン取引の90%以上を占めるようになった
ということもできるでしょう。

このような用途で仮想通貨を利用することは社会通念上好ましくないことは明らかですが、仮想通貨やビットコインの需要を押し上げていることは間違いありません。
仮想通貨の値動きを予測する上で、このような用途で買い注文・売り注文が入ることも知っておくべきでしょう。

ビットコインブームの牽引者はアメリカではなく中国。市場も大きい

仮想通貨やビットコインがこれからも値上がりを続けるためには、さらなる需要の拡大が欠かせません。
その需要拡大の主力エンジンの役割は、規制があったとはいえ中国に期待したいところです。

中国の今後の動向は、2018年以降も仮想通貨が値上がりできるのかや、ビットコインは1BTC/200万円~1,000万円へ挑戦することができるのか、といった分岐点に対して大きな影響を与えます。

仮想通貨やビットコインが高値を更新していけるかどうかは、仮想通貨の取引の活性化(出来高の増加)によるところが大きいからです。

ビットコインの場合2016~17年で、日本やアメリカ、韓国やユーロ圏の取引高が著しく増加しています。
しかし、全世界のビットコイン合計取引高は、2016年ピーク時と比較して6分の1まで落ち込んでいます。
中国の取引高がほとんどなくなってしまったからです。

つまり、中国が規制されると、それ以外の国の取引高が増加したとしても、その穴が大きすぎて埋めることができません。

ビットコイン全世界の取引高のピークは以下の通り

・2016年12月 日本円換算213,035億円
・2016年10月 37,260億円

このように大幅に減少しています。

やはり仮想通貨のさらなる値上がりのためには、中国の存在が欠かせないといわざるをえないでしょう。

現在、ビットコイン価格は1BTC/100万円を軽く超える急騰を見せており、中国を抜きにしても強い相場を保っています。

しかし、取引高を伴わずに上昇している現状よりも、主力エンジンとなる中国市場の判断を伴いつつさらに上昇するほうが、市場としても健全です。

ここに中国が加わることで、さらに強い相場が期待できるのではないかと思います。

2018年以降、中国の仮想通貨業界は規制強化へ向かうのか? それとも規制緩和へ向かうのか?
これは大きな注目ポイントとなりますが、これまでも中国は強い規制を繰り返してきたものの、仮想通貨の取引を完全に食い止めることはできていません。

これからも政府と仮想通貨ユーザーのいたちごっこが継続するとすれば、2018年以降も中国は仮想通貨業界を牽引しつづけると考えるほうが妥当でしょう。

中国中央銀行が検討する独自仮想通貨「チャイナコイン」とは?

中国政府がビットコインなどへの規制を強めるなか、その一方で中国人民銀行が新たな独自仮想通貨の開発・発行を検討していることが明らかになりました。
まだ検討段階に過ぎないため正式名称はありませんが、一般的に「チャイナコイン」と呼ばれ、既存の仮想通貨と区別されています。

チャイナコイン発行が現実となった場合、仮想通貨業界にどのような影響が及ぶのでしょうか?
ビットコインやイーサリアムといった既存の仮想通貨の立場が危うくなる可能性はあるのでしょうか?

2017年、中国は仮想通貨の国内取引およびICOを規制。非合法化へ

中国は、チャイナコインの開発を検討している一方、ビットコインやイーサリアムといった既存の取引を規制し、非合法化しました。
具体的な規制の骨子は、以下の通りです。

① 中国国内における仮想通貨取引所における取引を禁止
② ICO(新たに発行される仮想通貨)の発表を禁止

この2点の規制をわかりやすくいえば、すでに存在する仮想通貨を禁止にして、その上で新しい仮想通貨の芽を摘む、ということです。
ICOの規制にまで踏み込んでいることから、より高い強度の規制であることがうかがえます。

中国は取引を禁止するだけではなく、なぜICOの規制まで行うのでしょうか?
中国国内における仮想通貨の取引を禁止すれば、必然的にICOとして発行された仮想通貨の取引も禁止することが可能となりますが、それでは不十分なのでしょうか?

結論として、中国政府にはこれ以上仮想通貨を保有する人を増加させないという狙いがあるものと考えられます。
そして、その理由がチャイナコインの存在なのかもしれないと思います。

中国はチャイナコインを利用することで、ビットコインやイーサリアムといった仮想通貨からチャイナコインに乗り換えさせ、引き続き中国産の通貨を活用してほしい、という思惑がある可能性があります。

実際、取引所によるすべての仮想通貨取引およびICO発表の2点を非合法化としたことにより、中国によるビットコイン取引高は著しく減少しています。

世界のビットコイン取引高は、日本約50%、アメリカが約30%、韓国8.4%、中国数%となり、中国当局の思惑通りとなっているといえるのかもしれません。

なぜ中国は仮想通貨の規制にこれほどまでこだわるのか?

2017年現在は取引を停止しているとはいえ、多額の仮想通貨が中国の人々の懐で眠っていることが予測されます。(おそらく、全世界の仮想通貨の何割かを保有しているはずです)

それでは、この流れに逆行してまで、なぜ中国当局は仮想通貨やビットコインを規制にこだわるのでしょうか?

上記理由に加え、人民元の海外への流出(資本流出)を食い止めたいということも、仮想通貨を規制する理由の1つでしょう。

資本流出することによる中国にとってのデメリットは、自国の通貨が弱くなってしまうこと。

たとえば、ビットコインを購入するためには、中国人は人民元を売る必要があり、結果として人民元の為替レート下落を招きます。

日本を例に考えてみると、為替レートの下落はメリットのほうが大きいイメージがあります。
円安になると外国産の商品や材料を輸入する際に高くなってしまいますが、日本産の商品を海外へ輸出する際には販売価格を下げることができ、結果として多くの商品が売れるようになります。

しかし、中国が警戒するのは輸入品の価格が高騰し、ほとんどの割合を占める庶民や貧困層の生活を圧迫するという、元安のデメリットです。

ビットコインは人民元を売るための格好の手段となり、これを放置しておくことでより人民元の為替レートの下落が加速します。

人民元が安くなると富裕層がさらに目減り対策をするためビットコインなどを購入し、さらに人民元安が加速するという負のスパイラルに陥ってしまうのです。
これをなんとしても防ぎたい。

これこそが中国の仮想通貨を規制する理由です。

また、消費者保護の観点から規制されているという面もあります。
ビットコインは仮想通貨のなかで時価総額1位であり、値動きも比較的安定しています。
しかし、いつバブルが崩壊してもおかしくはないとする専門家もいます。

ビットコインですらこのような状況なので、有名ではない仮想通貨などは非常に値動きが荒く、よりリスクは高くなります。

ストップロスオーダー(損切り注文)を活用するなど、リスクコントロールができる投資家ばかりではないため、規制しなくてはいけないという考えなのかもしれません。

また中国というお国柄、すべてのお金の量や動きを把握したい、という思惑も働いているといわれています。

資本主義は小さな政府、社会主義は大きな政府といわれることがありますが、中国はさまざまな面で政府の関与が大きい国です。
仮想通貨だけではなく、インターネットの規制など、中国は政府の存在感が大きいのです。

政府が自国に流通する通貨の量や動きを正確に判断するためには、ビットコインなどの仮想通貨をなくしてしまうのが一番です。

仮想通貨はよくマネーロンダリングの手段となっていることが指摘されていますが、それだけ匿名性が高く、通貨の流れを追いにくい特徴があります。

結論として、中国国内ではさまざまな理由で、仮想通貨はあまり都合のいいものではなく、その結果として仮想通貨の取引やICO発表などの規制に繋がったということが考えられます。

チャイナコインとは?国家が管理する点でビットコインとは異なる

それでは、チャイナコインの詳細を分析していきましょう。
中国人民銀行が検討しているチャイナコインとは、いったいどのような通貨なのでしょうか?

2017年現在、チャイナコインについて公開されている情報は少なく、当の中国人民銀行にとってもあくまで検討段階となっています。
あくまでその前提となりますが、チャイナコインの代表的な特徴を以下に挙げてみました。

チャイナコインの特徴

  • チャイナコインの検討は月刊誌『中国金融』などで明らかとなった
  • 中国の中央銀行である中国人民銀行が発行を検討中
  • 法定通貨をデジタル化した「法定デジタル通貨」である
  • マネーロンダリングや脱税を防止することが主な目的である
  • 中国人民銀行副総裁の発言「現存の仮想通貨には信頼性や価値の裏付けがなく課題が多いが、中央銀行が管理し発行することで解決することも多い」

これらの情報から、チャイナコインは仮想通貨とはいえ、かなり特殊な性質を持っていることがわかります。
たとえば、ビットコインやイーサリアムといった仮想通貨には管理者や発行者が存在しません。

どこかの企業・国が運営しているわけでも、誰か特定の人の持ち物でもなく、ただ仮想通貨システムだけが存在するのがビットコインなどの仮想通貨です。

しかし、チャイナコインは中国人民銀行という明確な発行者や管理者が存在します。
このことにはメリットとデメリットがあります。

たとえば、中国人民銀行副総裁は現存の仮想通貨には信頼性や価値の裏付けがなく課題が多いが、中央銀行が管理し発行することで解決することも多いというメリットがあると強調します。

しかし、中国人民銀行が管理することで、チャイナコインは中国経済に依存してしまうというデメリットがあります。
チャイナコインは、中国人民銀行の自由な裁量により、通貨発行量のコントロールが可能です。

そのため、中国人民銀行がチャイナコインを多く発行すれば、価値が目減りする恐れもあります。

さらに、「法定デジタル通貨」であることが強調されていることを考えると、チャイナコインは人民元と固定レートとなる可能性が高いでしょう。
固定レートとは、たとえば「100チャイナコイン」と「100元」を対等に交換できることが保証されているなど、価値が結びついていることをいいます。

この場合、チャイナコインを買うことは人民元を買うことと同じになるため、目新しい投資対象とはいえなくなります。

チャイナコインについて予測できることは現状としてこのくらいです。
さらにこのような特徴あくまで予測であり、まだ情報が出そろっていない段階であるため、参考程度に考えていただければ幸いです。

チャイナコインはビットコインと競合するのか?現状はそう考えにくい

多くの仮想通貨投資家は、チャイナコインの登場によりビットコインが値下がりしてしまうのではないか、ということを懸念しています。
そのようなことが本当にありえるのでしょうか?
さまざまな考え方がありますが、筆者としてはその可能性は低いと考えています。

ビットコインなどの仮想通貨は、チャイナコインと目指すところが異なるため、競合する部分が少ないからです。

チャイナコインが発行されたとしても、ビットコインなどの仮想通貨にあまり影響がないと思われる理由は、ビットコインが以下のような事情で買い支えられているからです。

・特定の国により管理されていないため、人民元などの法定通貨の下落から資産を守ることができる
・将来的に仮想通貨が世界中に普及することで、たとえばビットコインさえ保有していればどの国でも買い物ができるようになる可能性がある
・銀行を経由することなく世界中に、しかも短期間で、格安の手数料で送金することができる
・仮想通貨が普及すればするほど、値上がりして利潤を手にすることができる

このような仮想通貨やビットコインの特徴に対し、チャイナコインはどうでしょうか?

・中国の中央銀行である中国人民銀行が発行する
・法定通貨をデジタル化した「法定デジタル通貨」である
・マネーロンダリングや脱税を防止することが主な目的である

このようなチャイナコインの性質は、仮想通貨(つまりデジタル通貨)である点でビットコインなど似ていますが、根本的にはまったく別のものです。
ビットコインなどの仮想通貨が担っている役割は、特定の国に左右されない通貨を実現することです。

しかし、チャイナコインはまさに中国という特定の国により管理される仮想通貨。

一般的な仮想通貨のニーズを、チャイナコインで満たすことはできないと考えられるのはこのためです。

チャイナコインがビットコインなどを駆逐するのではないか、という意見もまれにあるようですが、ニーズの一部を奪われることはあっても、その値動きに影響するまでにはならないと考えるのが妥当でしょう。
チャイナコインが発行されれば中国のお墨付きコインであることから、人民元に相当する高い信頼性が付与されることになります。

そのことにより、むしろ「仮想通貨はやはり凄いらしい」ということになり、(本当はあまり関連性がないのに)ビットコインなど一般的な仮想通貨の人気をさらに後押しすることすらありそうです。

仮想通貨の値動きを予測する上で、2018年以降も中国から目が離せない

2018年以降の仮想通貨の相場を予測するためには、どのような部分に注目すればいいのでしょうか?
これまでも解説してきているように、中国の動向に注目することが大切となります。

仮想通貨の業界人のなかには、中国の仮想通貨規制により、買い上がる力が弱くなるのではないかという考えを懸念する空気があるようです。
しかし、それでも中国が仮想通貨業界の蚊帳の外になることなどありません。
それはなぜでしょうか?

今回の規制で「中国のビットコイン市場は終わった」との判断は早計

2017年、中国当局により仮想通貨の取引所取引およびICOが全面的に禁止されました。
にもかかわらず、仮想通貨業界で中国が蚊帳の外となることはない、むしろ注目が高まっているのはなぜでしょうか?

その理由は、中国はこれまで規制を繰り返し行ってきたものの、結果として仮想通貨の普及を食い止めることができていない、という揺るぎない事実があるからです。

たとえば2013年12月にも、中国は金融機関によるビットコイン取引を禁止しました。
この際、一時的にビットコイン相場は急落。しかしすぐに持ち直し、さらに上へ向かう展開になりました。

そして2015年10月には一転し、中国政府は非公式ではあるもののビットコインの利用を認め、秘密裏にビットコイン関連のスタートアップ企業の立ち上げなどを積極的に行いました。
さらに、ビットコインの為替取引も非公式ながら許可した格好となります。

このように中国は、ビットコインや仮想通貨の規制に一貫性がなく、2017年の中国国内における仮想通貨取引全面禁止についても、いつまで継続することになるのか不透明です。

未来の動向について正確に予測することはできないため、今回の規制で中国の仮想通貨市場は終わったと結論づけるのは早計でしょう。
2018年以降の動向に、引き続き注目する必要がありそうです。

名目GDP世界第2位の経済大国でビットコインが受け入れられるか

中国は2016年、世界のビットコイン取引の90%以上を占めていました。

しかし、仮想通貨市場が中国を必要としている理由はこれだけではありません。
具体的には、以下のような理由があります。

・中国は社会主義的な体質が強いので、ビットコインを必要としている
・中国は人口も膨大、かつ名目GDP世界第2位の経済大国で、ポテンシャルが大きい

ビットコインが誕生したのは2009年頃。そのころ、ビットコインはまだ有名ではありませんでした。
はじめてビットコインが有名となった事件、それはキプロス危機です。

キプロス危機とは、キプロスという小さな国で発生した金融危機のこと。2013年に発生しました。

経済基盤が緩んだことから、法定通貨からビットコインへ資産を避難させる動きが活発になり、それにともないビットコイン相場価格が急騰。
そのころほとんど知られていなかったビットコインが、一躍有名になった事件です。

キプロス共和国は「共和国」という文字の通り共和制国家ですが、政府による通貨への関与が大きい国では、国民は法定通貨に対する不信感を抱きがちです。

中国も同じく、国民が人民元への不信感を持っているケースも多いので、法定通貨が不安定になってくるとビットコインなどの仮想通貨が買われることになります。
このため、中国と仮想通貨は親和性が高いと考えられます。

また、中国は人口がとても多く、経済力を示す名目GDPもアメリカに次ぐ世界第2位です。

このような市場が大きな国において仮想通貨が普及すれば、その地位を確かなものにすることができるはずです。当然、値上がりも期待できます。

現状、取引所を介さない取引については、中国国内でも許可されています。

そのため、熱心な仮想通貨投資家は取引を続けることでしょう。

しかし、新規参入の障壁がかなり高くなっているので、新たなユーザーの増加は望めません。

中国国内においてさらに仮想通貨が普及するためには、やはり中国政府による仮想通貨の規制が緩和される必要があります。
繰り返しとなりますが、規制についての今後の動向に注目する必要があります。

中国の動向を知れば、今後の値動きが見えてくる!

ここまで、中国と仮想通貨の関係や、中国の仮想通貨価格に対する影響度の高さを解説してきました。

もちろん、仮想通貨の値動きは、中国以外の要因も大きく影響しています。

中国を除く主な中心地はアメリカ。今後、ビットコインに関連する投資信託などがどのくらい増えていくのかなどに注目が集まります。
しかし、中国の仮想通貨事情を知ることで、これまで見えなかったことが見えてきます。

いまや、本場のアメリカでさえ、中国の動向を最優先して注目しているのが現実でしょう。

最後に、中国の仮想通貨業界が重要な関心事である理由、また中国のどのような部分に注目すればいいのか、という点についてもう一度振り返ってみます。

  • 中国の仮想通貨業界は政府による関与が大きいため、規制のゆくえに注視する必要がある
  • 中国は独自通貨であるチャイナコインの発行を検討しているが、既存の仮想通貨(ビットコインなど)を脅かすことは考えにくい
  • 中国は名目GDP世界第2位の経済大国。マーケットが大きいため、仮想通貨にとっても中国で普及させることが値上がりに重要となる

これらのポイントに注視することで、たとえば今後、中国での規制が撤廃された場合、いち早く買いに入るなどの投資判断が可能となります。

仮想通貨は値動きも早いため、少しエントリーが遅れるだけで機会損失となります。
あらかじめ状況を把握し、対策を講じておくといいでしょう。

中国の仮想通貨事情に精通することは、あらかじめ把握すべき事項の最優先です。
しっかり注視し、ベストな投資判断ができるよう、参考にしていただければ幸いです。

著者情報
自虐に突っ走る投資初心者。腹八分目を肝に銘じつつ、欲と恐れと戦いながらどこまで我慢できるか毎日チキンレース繰り広げてます。

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